医師が「病名」をなかなか言えない理由

映像的には何の異常も認められませんね、しばらく様子を見ましょう

これは、私が血液検査での異常値を受け、紹介状を書いてもらって診察に行った整形外科医でCT検査後に言われた言葉です。

ALSと診断されるまで、多くのお医者さんとお話をする機会がありました。そして、診断が出るまでに多くの時間もかかり、正直イライラしてしまうことも少なくありませんでした。

このALSという病気と最終的に診断されるまでには、様々な要因が必要です。似たような病気や症状でも、そこから派生する多くの病気があるからです。

お医者さんは、あらゆる可能性を模索してようやく、診断を下すわけです。私が聞いたところでは、「90%の確証で初めてその病気であると告知できる」という事です。

これはつまり、病気の候補が2つあったらその病気である確証は50%、もし候補が3つあったら30パーセントくらいという事です。これを90%の確証にするためには、様々な診察や検査や経過観察をしていって病名を絞っていく事になるわけです。ただ、患者側はどうしても今辛い原因がなにか、どんな病気なのかを知りたくなるもの。それでイライラしてしまう人も多いのではないでしょうか。

「ニャンちゅう」の声を長年つとめ、声優としてだけではなく、舞台でも活躍している津久井教生さんが、ALS発症を公表したのは2019年10月のこと。それから半年たって、「ようやく自分の言葉でALSのことを書けるまでになった」といいます。美容家の佐伯チズさんも公表したALSとはどのような病気なのか。一緒に生きるとはどういうことか。それを伝える連載「ALSと生きる」第2回目は、「名無しの権兵衛病」だったという病名が明らかになるまでに一番大切だとわかったことについてお伝えいただきます。
2020年の「ニャンちゅう」チームの皆さん。左から比嘉久美子さん、津久井さん、鎮西寿々歌さん 写真提供/津久井教生
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