10万円給付「ネット申請にマイナンバーカードが必須」の意味不明

1億人以上が持っていないのに
松岡 久蔵 プロフィール

ただ、前出の中谷氏は、そもそも国民全体にマイナンバーカードがまったく行き渡っていない上、マイナンバー・カードリーダー機の購入、または特定のスマートフォン機種によるアプリ経由登録までスムーズにできる国民は、ごく少数ではないかと指摘する。

「私が衆院総務委員会でマイナンバー制度について質問した昨年2月の時点では、人口1億2770万人に対し、交付されたカードは1616万枚でたったの12.7%、つまり8人に1人。今年3月1日時点での交付枚数は約1973万枚15.5%と、1年強で2.8%しか伸びていない。つまり現在も、1億人以上がカードを持っていないのです」

新しくマイナンバーカードを申請するにはおよそ1ヵ月程度かかる。早急な現金給付が求められている状況で、時間がかかってもいいから、わざわざマイナンバーカードの取得から始めようという人がどれだけいるだろうか。

 

何もかも中途半端

国民一人一人に12桁の番号を割り当てるマイナンバー制度は、納税の簡素化や住民データの効率的な利用促進などを目的に作られた。これに類した制度としては米国の社会保障番号などがあるが、海外では多くの場合、日本と違って年金や保険などすべての重要な個人情報と紐づいている。成立当時の事情に詳しいベテラン自民議員はこう振り返る。

「すべての個人情報を番号で紐づけて管理するというやり方自体は、欧米の先進国ならどこも普通にやっていることだ。ただ、日本では『プライバシーの侵害』とか『国民総背番号制だ』という猛烈な批判があった上、縦割り行政の弊害もあって省庁間のいがみ合いを招き、結局中途半端な形で世に出ることになった。

現在、マイナンバーを活用しているのは電子納税する自営業者が主体だろう。総務省は『コンビニで住民票が簡単に発行できる』などとアピールしているが、とてもではないが、その程度のことで一般に普及するわけがない。典型的な失策といっていい」