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緊急事態宣言延長で問われる「日本モデル」その強みと弱み 

日本の対策のこれまでとこれから

日本の新型コロナウイルス対策では、いわば司令塔が不在であるため、そもそも日本がどんな政策をとっているのかが、日本国民にとっても不明瞭になっている。日本的なコロナ対応としての「日本モデル」は、あると言えばあるのだが、誰もそれを体系的に語っていないので、意識化されていない。せめて政治家と専門家層くらいの間でだけは意識化が図られていればいいのだが、それも怪しいのが実情だ。

私は、社会科学者の立場から、「日本モデル」を描写することに関心を持っている。社会的に存在していると言えるが、しかしまだ誰も体系的に言えないことを、概念化していくのが、社会科学者の務めだからだ。

さらに言えば、できれば「日本モデル」を意識化して、その強みと弱みを知ることは、日本人が今後、政策を立案し、評価していくために、極めて重要だとも考えたい。緊急事態宣言が延長されたところで、あらためて今まで日本は何をやってきて、これから何をしようとしているのかを、考えたい。

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「日本モデル」の三つの領域

新型コロナウイルス専門家会議は、「日本モデル」を、(1)クラスター対策、(2)医療体制、(3)国民の行動変容、の三つの領域に特性を持つものと考えている。残念ながら、専門家の方々は、これら三つを特筆することが重要だということを体感で知っていながら、体系的に説明することをしてきていない。そのため、しばしば大きな誤解も生まれてしまっている。

 

一番大きな誤解は、これら三つを主要構成要素とする「日本モデル」を語ると、それを新型コロナウイルス対応策の完璧な解答と見なさなければいけない、と思い込むことである。しかし、実は「日本モデル」として考えられているのは、いわば「日本的なやり方」といったものだ。そこには長所もあるのだが、疑いなく短所もある。主要な三つの領域にある長所と短所を含みこんだ日本的なやり方が、「日本モデル」である。

「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」(孫子)、つまり敵を知るだけでなく、自分も知らなければ、戦えない、ということだ。