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保健所は激減、保健師は激増…コロナで露呈した「保健所劣化」の本質

感染症対応の経験がない人材が多数

実は、2万人も増えている

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、保健所に電話してもつながらないとか、保健所の業務がひっ迫しているとか、罵声を浴びせられ保健師が疲労困憊しているといったニュースが報じられている。

保健所や保健師の存在がこれほど注目されたこともないだろう。実は行政改革によって保健所の設置数は大きく減少している一方で、保健師の数は増えている。

厚生労働省が発表する「衛生行政報告例(就業医療関係者)概況」などの統計によると、1996年に保健所の設置数は845か所だったのが現時点では469か所に減少したものの、保健師総数は3万1581人から5万2955人に増えている。

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保健師総数は増えながらも、保健所数が減ったことにより、感染症に対応する地域の力が落ちている。こうした点が住民不安を煽っている点は否めない。その要因は大きく2つある。地方分権が中途半端な形に終わっていることと、行政の効率化加速によるものだ。

保健師総数の就業場所別の内訳をみていくと、保健所内勤務は1996年の8703人から2018年は8100人に減少したのに対し、市町村勤務が1万5641人から2万9666人に増加している。この理由は、1990年に高齢化率が12・1%に達したことなどにより、介護や母子の健康管理など身近な公的福祉厚生サービスを、都道府県から住民により近い市町村に移管していく地方分権の流れができたことによるものだ。

こうした流れを受けて、1994年に保健所法が地域保健法に改められて市町村の役所に配置される保健師が増えた。ここが一つのターニングポイントだが、市町村保健師は感染症に対応する権限を持たない。感染症に対応するのはあくまで保健所保健師だ。ところがその保健所に行政の効率化の波が襲いかかり、設置数が減少してしまったのである。

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