「9月入学」が社会と
教育現場にもたらす衝撃波

私も個人的には「9月入学」という制度そのものに前向きな考えをもっている。海外の学校制度と足並みがそろうことももちろん、大雪やインフルエンザのリスクが増す真冬に入試を行う必要もなくなる。学年をまたげば、夏休みの宿題も性格が変わるかもしれない。「卒業・入学の時期には桜がなければ」という反対意見もあるようだが、制度が変われば新しい風景が生まれるはずだ。

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しかし、いまじゃない。

学事暦が9月始まりとなれば、パッと思いつくだけでも以下のような社会的影響が予測できる。

・生まれ月による学年の区切りが9月に変わる

・国や自治体の会計年度とのズレが生まれる

・就職活動の時期やしくみを変えなければいけない

・国家試験の時期やしくみを変えなければいけない

・保育園の入園・卒園のタイミングがズレる

・カレンダーや手帳の年度始まりが3種類になる

・教科書に描写されている季節感がズレる

・塾や予備校のカリキュラムの全面見直し

・習い事や通信教育のサイクルの全面見直し
……etc.

挙げ始めれば、きりがない。文科省マターを中心に膨大な数の法規・制度改正が必要になることは言うにおよばず、会計年度や人材供給時期という経済面での影響もさることながら、以下、子どもの成長に直接的に関連する部分だけを考えて見ても副作用は甚大だ。

保育園の入園・卒園の時期がずれれば待機児童問題に混乱をおよぼすことは間違いない。ただでさえ経営難に陥ることが予測される塾・予備校業界への打撃は計り知れない。就活制度が変わる過渡期にはなんらかのバグが生じ、落とし穴にはまる学生も増えるだろう。また、教科書を全面改訂しなければ、真冬に水遊びの文章を読まされることになるかもしれない。

学校の始まりは当然保育園や幼稚園にも影響する。つまりは復職の時期にも大きく関わる Photo by iStock

変化に混乱はつきものである。混乱を恐れていては何も変えられない。しかし、この社会的大混乱の最中に新たな大混乱の種をまくのは控えめにいって愚行である。