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コロナ後の米中対立、中国の外交専門家が語った「近未来予想図」

2大国間の理性と本能の戦い

「時間は中国に有利に働く」のか

GWに、一つの大きな命題を考えてみたい。それは、地球規模の危機が発生した時に、人類は協力し合うか、それとも対立が増すか、という問題だ。

例えば、われわれが食べていたパイが、何かの原因で突然、半分になってしまったとする。その場合、各国が協力し合って、すべての人の取り分を半分に我慢して凌ごうとするだろうか。それとも、各国が他国の取り分を奪い取ろうとして、対立が激化するだろうか。

これは人間というものの存在が、理性的な部分と本能的な部分が葛藤した場合、どちらが勝るかという問いでもある。

こうした観点から、いま私が注視しているのが、2020年の人類に降って沸いた新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)という危機によって、世界の2大国であるアメリカと中国は協力し合うのか、それとも対立を深めるのかということである。両大国の狭間に位置する日本は、それによって多大な影響を受けることになる。

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アメリカ側の見解については、ドナルド・トランプ大統領が連日、中国批判をぶっていて、それに対する記事や評論も多く出ている。そのためここでは、主に中国側の見方をお伝えしたい。

もともと中国側の根底にある対米関係についての基本認識は、「時間は中国に有利に働く」というものだった。

周知のように、21世紀に入ってからの中国の発展ぶりは目を見張るほどで、2010年にGDPで日本を追い越して、世界第2位になった。そこからも成長を続け、2020年代の後半に、アメリカを追い越して世界一になろうとしていた。現在は、アメリカの3分の2の規模まで迫っている。

軍事的には、実質上の軍事費で比較した場合、3分の1規模に来ている。技術的には、何を基準にするかによって異なるが、例えば今年本格始動する5G(第5世代移動通信システム)で見た場合、中国のファーウェイ(華為)に対抗できるアメリカ企業は存在しない。逆に、中国が一番遅れているのが金融分野で、世界の貿易通貨として見た場合、ドルが人民元を圧倒している。

ともあれ、総合的に米中両大国の国力を比較した場合、時間が経過すればするほど、米中の差は縮まってくる。そのため、中国はじっと成長を続けながら、いつしかアメリカと肩を並べ、凌駕する日を待とうという戦略だ。この戦略を説き続けたのが故・鄧小平氏で、「韜光養晦」(とうこうようかい=Hide one's capacities and bide one's time)という言葉を使った。

 

ただ、そうは言っても、国際社会における中国の存在感が増していくに従い、国際問題に無関心ではいられなくなった。そこで胡錦濤時代に、「和諧世界」(わかいせかい=Harmonious world)という外交理念を打ち出して、「世界の平和と調和に貢献する」態度を見せた。次の習近平政権は、「一帯一路」(Belt and Road initiative)を外交政策に掲げ、やはり「人類命運共同体」(Community of common destiny for all mankind)を唱えている。

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