地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
1906年の今日、フランスの数学者アンドレ・ヴェイユ(André Weil、1906-1998)が誕生しました。
彼は数学者集団「ニコラ・ブルバキ(Nicolas Bourbaki)」の発起人として有名です。
パリで生まれ育ったヴェイユは、エコール・ノルマル(高等師範学校)を卒業後にストラスブール大学の教授をつとめました。ヴェイユは数論や代数幾何学について研究し、数学における難問・リーマン予想の解決につながりうる「ヴェイユ予想」を発表しました。
個人としても名声を高めるかたわら、ヴェイユは学生時代の友人アンリ・カルタン(Henri Cartan、1904-2008)らとともに数学者集団「ニコラ・ブルバキ」を結成しました。
「ニコラ・ブルバキ」とは人名のような名前だなあ、と思った皆さんは鋭い。ヴェイユら9人の創設メンバーは、集団の名前として架空の人物のような名前を採用することで、彼らの書く数学書が謎の数学者による著作に見えるようにしたのです。
「ブルバキ」が著した『数学原論』という書物は7000ページ以上にも及ぶ大著で、グロタンディークなど多くの数学者に影響を与えました。
「ブルバキ」のメンバーがどんどん入れ替わる一方で、ヴェイユ自身は兵役を拒否したことで亡命に追い込まれてしまい、ブラジルやアメリカなど世界を転々としながらも研究を続けました。
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