日本のコロナ対策、結局「何に成功し、何に成功していないのか」

そもそもの「戦略」から考える
高橋 政代 プロフィール

もっともその場合でも、PCR検査はあくまで医師が必要としたものだけを行うのが基本だ。患者がしてほしいという検査に全部対応するほど増やすことはできない。信頼できない陰性の結果を大丈夫と思って感染を広げる害もある。検査は臨床での所見との総合判断で診断をするべきである。新型コロナウイルスでは、PCR検査結果だけで考えてはならない。

そして、大事なことはPCR検査数の増加と軽症者の宿泊施設などでの受け入れ体制とはセットでないと医療崩壊につながるということである。

実際に海外でもそうした考え方をとる国は少なくない。ニューヨークでもある時点から「必要な人だけ検査」と言い始めた。

ニューヨーク州のクオモ知事〔PHOTO〕Gettyimages
 

日本においてAの段階で抑えられなかったのは、専門家会議の緻密な作戦で第1波の感染の激増をうまく凌いだことで油断したからだ。欧米などからの帰国者による第2波はそれほどうまく凌げず、その観点から見るとオリンピックの延期が1週間遅くてBに入ってしまったので、戦略は完全に次のステージに入った。それゆえに緊急事態宣言が出されたのだ。

それでも数字を見れば、これまでの日本は欧米のような都市封鎖を行う状況にはなっていない。また今はその第2波もBからAに戻せる傾向が出ている。

Cでは欧米のような完全封鎖が必要となるが、日本はそこまでは行かなかった。Bの段階で欧米型の都市封鎖をしてしまうと、どこで封鎖を解除し、元に戻すかが非常に難くなる。これは長期戦なので、絶妙のバランスで持続できる対応をとってワクチンや治療法までしのぐ必要がある。そういう意味でこの段階で過剰な不安で害が出るのを避けないといけない。

今回、欧米の医療体制、医療対策が必ずしも素晴らしいわけではないことがわかった。欧米のようにCの段階になっていないのに海外にならえというのは問題である。