日本のコロナ対策、結局「何に成功し、何に成功していないのか」

そもそもの「戦略」から考える
高橋 政代 プロフィール

すでに感染者が増え始めたタイミング、しかも日本には韓国や台湾のような感染症対策のための体制も整っておらず検査もままならない。そんな状態で対応を託された専門家たちは、クラスター潰しで時間稼ぎをして感染のピークを遅く低くするという作戦をとらざるを得なかった。

前述の通り、それは最初の専門家委員の出した秀逸な【図2】に示されていた。クラスター対策によって感染拡大を抑止しつつ、徐々に重症化防止策を整えていくという方針が見て取れる。

【図2】再掲

【図2】は厚労省が発表したものに、私が(1)赤枠と(2)日付を入れたものだが、注意したいのは、もともと専門家会議が出した図では、ピーク時には患者数が医療のキャパを少し超えるように書かれていたことだ。ところが、厚労省の図は医療のキャパシティの線を上げて(図2(1))、ピークをしのげるように変えていた。そんなことは急には起こらない。むしろ医療者が感染するので医療のラインは下がることが予想される。

そして、3月後半から、そのなだらかなピークが医療のラインを超える危険水域に入って来た(図2(2))。

残念だったのはクラスター班が予言して、時間稼ぎもしていたのに、その間に軽症者を病院以外の施設で受け入れる準備や、医師が必要と思うPCR検査ができる体制を十分に作っていなかったことだ。感染者が増えれば、クラスター解析が及ばなくなる。PCR検査のキャパシティを増やし、感染の実態を把握する必要があった。

しかし、時間があったにもかかわらず、日本は4月初旬の段階で慌てていた。私はこれは専門家会議ではなく政治行政の責任であると考える

 

PCR検査と受け入れ体制の整備はセット

そもそもウイルスへの対応は、A.患者が線形に増えている時、B.増え方が指数関数的になりそうな時、C.指数関数的になって医療が崩壊した時、で異なる。Aの間は無駄な労力が多くなり混乱するのみなので検査は少ない方がいい。繰り返しになるが、Bの段階が訪れるまでに、必要なPCR検査ができる体制をとるべきだったのである。