日本のコロナ対策、結局「何に成功し、何に成功していないのか」

そもそもの「戦略」から考える
高橋 政代 プロフィール

死亡数が極端に少ない原因は不明であり、世界からも不思議がられていることである。結核予防にBCGの日本で使われている株を子供に一律に接種している国は感染者数も死亡者数も少ないという説もある。あるいは日本の文化、清潔好きで手を洗う水が豊富な国ということが原因かもしれない。

しかし、一旦対処を間違えると数週間で欧米のような医療崩壊、死体の山積みになるウイルスであることを考えると、これまでの対応もあながち間違ってはいないのであろう。日本の専門家委員会クラスター班は丁寧にクラスターに対応して、感染の爆発を阻止してきた。

後述の通り、日本は最初から感染者を全部把握することは諦めた方針であったので、感染者数で一喜一憂する必要はない。世界に比べかなり多いCT台数【図1】によってコロナに特徴的な肺炎像で見つけられ、重症にならないようケアされている。PCRの検査数が他国と比べ少ないことを懸念する声があるが、そればかりに注目すべきではない。

【図1】(拡大してご覧ください)

むしろ体制が整っておらず、感染者が少ない時期には検査数を抑えて無駄をなくす必要があった。なぜなら検体採取のブレが大きすぎて、陰性も陽性も絶対的なものでなく、たくさん検査しても、むしろ医療現場の混乱とリソースの浪費につながるからである。

詳しくは後述するが、今は患者数も増え、PCR検査を拡充すべき時期だ。その整備が遅れたことは否めないし、それは問題だと考える。現在、各地方自治体や病院で体制を挽回中である。

 

遅かった政府の初動

次に注目したいのは、日本の方針や、専門家会議が目指すところである。その目標や達成方法がわからないという意見も多くみられた。後述するがそれらは専門家会議が提示した【図2】で最初から表明されていた。

【図2】日本のコロナ戦略
2020年2月23日の厚労省資料に(1)赤枠(2)日付を追記

以下では、専門家会議の方針とこれまでの経過を私なりにまとめてみよう(こちらの一連のツイートも参考)。

まず、専門家会議に委託された時期の問題がある。専門家会議の発足は2月14日だったが、これは他国に比べると遅いタイミングだった。たとえば、台湾では専門家会議が1月5日に発足している。ドイツでは1月から医療体制を整え始めていた。