2020.05.06
# 社会 # 文学

迫りくる「首都感染」…延期された緊急事態宣言が出されるまで

現実となった『首都感染』③
高嶋 哲夫 プロフィール

緊急事態宣言へ

4月に入ると、事態は急速に進んだ。

朝、新聞を見ると、一面は「新型コロナウイルス」関係。テレビも同様だ。日々増えていく感染者数と死亡者の数を放送した。さらに医療現場や世界の惨状を伝えた。

僕には娘が3人いる。そのうち2人はアメリカ西海岸、ロサンゼルスとサンノゼに住んでいる。また、ニューヨークには複数の友人がいる。ニューヨークの死者は1500人以上。

 

彼らから頻繁に町の写真が送られ、電話がかかってきた。ニューヨークからの写真には、シャッターの下りた店、人通りのない町の様子が映っていて、仕事に出ることを禁じられたという言葉が添えられている。

「アメリカは今、ひどい状況になっている。働くなと言われてる。家にいろだって」

娘からの早朝の電話だ。時差は16時間、西海岸は昼すぎだ。

収束までにアメリカの死者は10万人から24万人に上るという試算も出ている。

変動する株価や増える企業倒産と失業者、経済がガタガタになるのは明らかだ。そして、現在のニューヨークは明日の東京の姿だと言うものさえいる。

金融市場の混乱が続いている(photo by gettyimages)

日本でも、感染者数は都市部を中心に急増し、医療機関はギリギリで保持していると政府は発表した。

新年度が始まったが、企業の入社式など中止が相次いだ。政府は、一世帯あたりに布マスクを2枚配ることを発表した。

4月3日、世界の感染者数は100万人を超え、死者数は5万人となった。

ウイルスは、一瞬のうちに世界を変えてしまった。

迫りくる『首都感染』

4月6日、心待ちしていた『紅い砂』のショートムービーが夜西監督から送られてきた。

1分42秒の映像に僕は興奮した。特に戦闘シーンは迫力があった。

だが同時に、違和感も感じた。難民という世界共通の問題を取り上げたとはいえ、現在、日本を含め、世界が直面している深刻な状況とは明らかに違う。

僕はフェイスブックとツイッターをやっていて、毎朝、前日の出来事とその日の話題について書くことに決めている。備忘録と自分の考えをまとめるためだ。公開しているので、ほぼ当たり障りのないことだ。『首都感染』についての書き込みが多くなっている。

「緊急事態宣言」の言葉が連日、新聞やテレビに現れていた。発令されれば、知事は住民や企業、店に自粛の要請ができる。

政府の方針が徹底したせいか、町を歩く人はほとんどいない。
たまに見かける人もマスクをして背中を丸めてわき目もふらず足早に歩いていく。
「まるで死の町だ」
優司の口から溜息のような声がもれた。
 通りの両側に並ぶすべての店のシャッターは閉まっている。
 開いているのはコンビニやスーパーといった、政府の指示で開店を義務付けられている店だけだった。その店も、レジ係だけという風に最小限の店員だけでやっている。(拙著『首都感染』より)

まさに、『首都感染』の世界がやってくる。

そして、いよいよ4月7日を迎える。

<第4回へ続く>

<註1>(1)特別予算の編成(2)株式為替市場の安定(3)公共投資の加速と民間投資の促進案(4)百貨店や商店への支援策(5)運輸、観光、レジャー産業への支援策(6)中国人旅行客減少による損失の補填(7)生産ラインの整備、サプライチェーンの調整、台湾国内での受注振替などの企業支援(8)企業の生産活動と予防措置への支援株式市場安定のために「国家金融安定基金」から2000億台湾ドル(約7100億円)を支出し、相場を下支えする準備があると発表。

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