2020.05.06
# 文学 # 社会

迫りくる「首都感染」…延期された緊急事態宣言が出されるまで

現実となった『首都感染』③
高嶋 哲夫 プロフィール

時系列と世界の状況を組み合わせると、日本が、と言うより、世界が「感染」に追い付いていない。ウイルスの拡散速度は、予想より遥かに速かった。それだけ、現在の交通網は発達し、移動人口は多かった。

さらに、「初動」の重要性を実感させられた。遅れた分だけ、被害が拡大している。すべて、時間との勝負だ。

3月最終日の時点で日本の感染者は2941人、死者は77人。

アメリカやヨーロッパと比べると、日本は数字上はよくやっている。ただどこかで、「感染爆発」が起きなければ、だ。だから、我々も協力する必要がある。

 

ただ、日本政府の対処も、おかしなところは多々ある。優秀な専門家たちがクラスター探しに躍起になっている中、症状の軽い陽性の患者は自宅待機にしている。本人の不安もさることながら、家族、ご近所はかなりきつい。

プロ集団である、病院内でも院内感染が多発している。病床の不足は分かり切っていたのだから、1月から確保に動くべきだった。中国、韓国の観光客が激減し、ホテルはかなり空いていた。

個人的には、「靴の消毒マット」も、ぜひやってほしい。鳥や豚のインフルエンザ発生で、車のタイヤを消毒しているのをよく見る。院内感染の防止にかなりつながると思う。患者の咳などによる飛沫やエアロゾルは、いずれ床に付着する。ドアノブや壁の消毒はしているが、床の消毒は見ていない。シューズカバーを使っている者も一部だ。当然、配慮はしているのかもしれないが。

近づく感染爆発

「死亡者数÷感染者数」で、致死率が出る。7日の数字を入れると、0.0108。約1%の致死率だ。日本ではPCR検査が十分でないから、「隠れコロナ」が相当数いる。だとすると、致死率はさらに下がる。治療体制がしっかりしているから、死者が少ないのだと思う。

そういった意味のSNSを書くと、もうあまり「コロナ」に触れてほしくないという書き込みがあった。多くの人が「コロナ」にうんざりしていた。特に、飲食店を経営する知人からは、客が極端に減ったという嘆きの情報が多かった。この時は、店の閉鎖要請になるとは、思ってもいなかったのだろう。

僕も3月には二度東京に行き、隣の市で開かれた50人レベルのお祝い会にも出ている。

神戸にも、東京から編集者が来たし、新聞や雑誌の取材も来た。

24日は、品川の日本マイクロソフトの本社に行った。今後4年間をかけて小中学生に配られる一人1台のパソコンについて、話を聞いた。

このときは、羽田空港はさすがに人は少ないと感じた。品川に出ると、いつもの東京の姿だが、食堂街はお弁当販売が増えていた。これを最後に、東京には行っていない。
 
3.11は、東日本大震災から9年目だった。

各地で追悼式が行われる予定だったが、大規模な集会は自粛となっている。政府は首相官邸で献花式を行った。

春の選抜野球も中止が決定された。新型コロナウイルスの前にすべてのイベントは消えていった。

そんな中、10日、ギリシャで、オリンピック採火式を無観客で行った。

僕も開催の有無を聞かれることがあった。いつも通り、日本よりむしろ、海外の状況で判断する必要があると答えた。つまり、開催などできるはずがない、という意味を込めて。日本のオリンピック関係者、特に上層部のやる気満々の発言、粘りを見ていると、開催はできないとはっきり答える勇気はなかった。

オリンピックはようやく延期された(photo by iStock)

しかし2週間後の24日、ついにオリンピックの延期が決まった。中止ではなく延期だ。国内ではホッとした空気が流れた。ここまで引っ張るには、なにか別の思惑があったのか。

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