密を避けるために(photo by iStock)

迫りくる「首都感染」…延期された緊急事態宣言が出されるまで

現実となった『首都感染』③
本日5月6日は緊急事態宣言の期限だったが、5月末まで延期されることになった。いったいいつ、この事態は終わるのか――10年前に書かれた「予言の書」として爆発的に読まれている『首都感染』の著者・高嶋哲夫氏が、「新型コロナと日本人」について書きおろすドキュメント連載第3回!

第1回:10年前の予言書『首都感染』著者が振り返る「新型コロナ騒動」前夜

第2回:新型コロナをめぐる、日本人の危機意識の「ばらつき」について

舞台は世界へ

3月に入って世界の動向は大きく変わった。ヨーロッパとアメリカを中心に「新型コロナウイルス」は、世界に広まっていった。しかし日本では、危機感は薄かったような気がする。国会では相変わらず、「桜を見る会」でもめていた。

3月1日 世界感染者 8万7573人、死者2992人
3月31日 世界感染者75万0890人、死者3万6405人

ひと月で、世界の感染者数は9倍近くになっている。

 

「去年は3万7000人がインフルエンザで死亡した。(インフルエンザの死者は)平均的に毎年2万7000人から7万人だ。どこも閉鎖されないし、経済は続いていく。いまの時点で新型コロナウイルスの感染者は546人、死者は22人。考えてみてほしい」

9日、こう言っていたトランプ大統領も、4日後には、「国家非常事態宣言」を出している。これにより連邦緊急事態管理局の災害救援基金から最大500億ドル(約5兆4000億円)を活用し、感染拡大抑止・治療の支援を強化することを示した。同時に、イギリス以外の欧州からの入国禁止措置を行った。

WHOは11日にやっと「パンデミック宣言」を出している。これは完全に遅すぎた。WHOの失敗は他にも多くある。

22日、イタリアの感染者は約5万9000人になり、中国の数を超えた。死者は5000人以上だ。

EUは欧州全体に入国制限、事実上の封鎖を行った。

13日、日本では新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部改正が成立した。これにより、「緊急事態宣言」を出すことができる。

この日、中国は新規感染者数がゼロになったことを発表した。しかし、武漢の封鎖は続いた。

20日、ニューヨーク州のクオモ知事は州全域に「外出禁止令」を出した。これにより、食料品店、薬局などの生活必需品以外の店は、臨時休業が求められた。この結果、町からは人が消えた。

人の消えたニューヨーク(photo by iStovk)

出遅れた日本

初期に感染が広まった韓国、台湾は、すでに落ち着いていた。

台湾は、マスクの購買システムばかりが評価されるが、去年の暮れにはWHOに新型コロナウイルスの発生情報を提供し、武漢からの入国者には検疫を開始した。さらに1月30日には、「八大措置」(註1)を決定している。経済への影響を減らすために、特別予算を編成し、為替の安定、各種民間企業の支援金を準備した。

韓国はスマホの位置情報を使って、人との接触を避けさせた。さらにドライブスルーなどを導入し、PCR検査を充実させた。

二国とも、過去の感染症SARSとMERSの経験を生かして、被害を最小に抑えた。

厚生労働省は、17日にクラスターと呼ばれる感染者集団が、北海道、東京、愛知県、大阪府などの「ライブハウス」「病院」「老人施設」「夜の繁華街」などで発生していることを発表した。

こういう状況でも、「オリンピック」の開催については、関係者やマスコミは前向きだった。総理も「完全な形で実現する」と述べている。