金正恩「最新写真」が物語る、北朝鮮の異変と消えない健康不安

「死亡説」「危篤説」の真相は…?
牧野 愛博 プロフィール

隣に座る金与正氏の役割

それは、朝鮮中央通信が2日に公開した写真からも見て取れる。ひな壇で、金正恩氏の横には実妹の金与正(キム・ヨジョン)党副委員長が座っていた。北朝鮮関係筋は「今回であれば、通常考えられる出席者は、首相や党軽工業部長、党平安南道委員長らだろう。党の組織指導部あるいは宣伝扇動部を統括しているとみられる金与正氏が出席する必要はない」と語る。

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実は金正日総書記が2008年8月に脳卒中で倒れた後にも、今回と同じような現象が見られた。金総書記が健康を回復した後に行った現地指導の映像に、1人の女性が映り込むようになったのだ。金総書記の実妹、金敬姫(キム・ギョンヒ)氏だった。

敬姫氏は現地指導の隊列に加わらず、後方で1人、所在なげにたたずんだり、周囲を歩き回ったりしていた。当時の米韓両政府は「金正日総書記が再び倒れた場合の緊急対応ができるよう、金敬姫氏がそばについている」と分析していた。

金正恩氏も以前から健康に不安を抱え、2月にはドイツから医師団が派遣されて治療にあたったとされる。4月の朝鮮労働党政治局会議で、金与正氏が党政治局員候補に選ばれたのも、正恩氏の業務量を減らし、与正氏に分担させる狙いがあるとみられる。

金正恩氏の健康不安が現実のものであれば、今後、与正氏を政治局員に昇進させ、正恩氏の補佐ないし緊急事態での対応を図る体制をより整備していくことになるだろう。金正恩氏の公開活動が減っていけば、再び健康不安説が頭をもたげることにもなる。関係国は2日に公開された写真や映像の詳細な分析を急ぐとともに、正恩氏の今後の公開活動や与正氏の役割の変化などに注目している。