朝鮮中央通信が公開した金正恩氏の最新写真

金正恩「最新写真」が物語る、北朝鮮の異変と消えない健康不安

「死亡説」「危篤説」の真相は…?

透けて見える北朝鮮の思惑

北朝鮮の朝鮮中央通信は5月2日朝、金正恩朝鮮労働党委員長が、1日に行われた同国西部・平安南道(ピョンアンナムド)の順川(スンチョン)リン酸肥料工場の竣工式に出席したと報じた。

金正恩氏が公の場に姿を現すのは、4月11日に平壌で行われた党政治局会議出席以来、20日ぶりのことだ。これで、一部に流れた金正恩氏の死亡説や重体説、植物人間説などは一掃されたことになる。

朝鮮中央テレビも2日、竣工式の映像を伝えた。そこでは拍手し、参加者たちに手を振り、時には笑みを浮かべる金正恩氏の姿が映っていた。歩いたり、階段を上り下りしたりする動作に問題はない様子で、タバコを指先に挟みながら幹部たちに指示を飛ばす場面も映っていた。

ただ、関係国の政府関係者や専門家らに取材してみると、事態はそう単純ではなさそうだ。

関係者らが注目したのは、朝鮮中央通信が正恩氏の公開活動の記事に添えた21枚の写真だった。

写真でも正恩氏の竣工式のひな壇に座った姿、テープカットする姿、幹部たちに囲まれて笑顔を見せる姿などが映っていた。共通するのは、「最高指導者の健康状態に問題はありません」と強調し、アリバイ作りをしたい北朝鮮の思惑である。

正恩氏が座るひな壇の後方には、「順川リン酸肥料工場竣工式 2020年5月1日」という標示板が掲げられていた。通常、北朝鮮では最高指導者の機密を守るため、国営メディアは公開活動の日付を明らかにしないで伝える場合がほとんどだ。しかも、年月日について、「主体109年(2020年)」というように表示する。

朝鮮中央通信
 

メーデーが国際行事だったということを差し引いても、写真からは、北朝鮮国内はもちろん、正恩氏の健康について疑念の目を向けてきた西側諸国に対して、金正恩氏が5月1日に確かに現地にいたことを証明したい思惑が透けて見える。