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携帯電話で話すあなた声は、実は「勝手につくられた声」だった

以外と知られていない携帯の仕組み

声をデジタルデータに変換

生活に欠かせない電子機器といえば?

こう問われて、ほとんどの人が真っ先に挙げるのが携帯電話だろう。

「個人が持ち歩く電話」という定義の携帯電話が日本に普及したのは1985年。当時の携帯電話はショルダーホンと呼ばれ、肩から提げて持ち歩く仕組み。重量は約3kgもあった。

1985年当時の携帯電話(Photo by gettyimages)

それから35年の時を経て、ポケットに入れて持ち運べるようになった携帯電話は、メール、インターネット機能を装備。時として、パソコンよりも利便性の高い情報端末にまで進化した。

時代とともに多機能化が進んでいるが、その名のとおり、本来の利用目的は「電話」をすることである。そもそも、なぜ遠く離れた端末同士で、通話ができるのだろうか。

 

まずは、固定電話の仕組みから解説しよう。固定電話は糸電話と同じ要領で、送信側の発する音声を波形に変換し、電話線に乗せて受信側へと届ける。シンプルな原理だが、発せられた音声を「そのまま」伝えなければならないため、データ容量が大きくなってしまう。

一方、有線でつながれていない携帯電話は、音声をデジタルデータに変換し、電波に乗せて「飛ばす」必要がある。音声をそのまま電気信号化し、送受信を行うと、何人もの送受信で通話データが膨大になり、回線がパンクしてしまう。

そこで考えられたのが、容量の軽い「合成音声」を使用する方法だ。あらかじめ用意された音声データのパターンを使用することで、通話時のデータ容量は16分の1程度まで抑えられる。

端末が音声を聞き取ると、約2000パターン用意されている「音声の情報データ」に検索をかけ、「似た声」を合成する。そのデータを電波に乗せて転送し、受信側の携帯で再生する。こうして、通信容量を軽くしつつ、かつ送信者の声に近い音声を届けている。

裏を返せば、通話相手が受け取るのはあなたの音声ではなく、よく似せられた合成の音声なのだ。

自分から携帯へ、携帯から相手へ。今日も世界中で「伝言ゲーム」は繰り広げられている。(森)