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問題発見の仕方を体系的に理解する方法

『問題発見力を鍛える』vol.11
「問題解決」よりも「問題発見」が重要になっていく時代に必要なことは何かを考えるコンサルタント・細谷功氏の連載『問題発見力を鍛える』。第11回の今回は、飲食店などを例に、問題発見と問題解決とで「変数」の扱いがどう違うのかについて解説します。

解決すべき問題=「変数」

問題とは「変数の組み合わせ」であり、問題発見とはその変数を新たに探し出すことであると前回お話しました。ではこの「変数」というイメージが実際のビジネスや日常生活における問題解決とどのように関係があるかを前回とは別の切り口からも見ていきましょう。

皆さんの仕事や日常生活における問題での「変数」とは何でしょうか? 旅行であれば、例えばホテルの満足度、訪れた名所旧跡の帰ってからの話題性、料理のおいしさといったものが「変数」になり、これらをいかに最大化できるかが旅行の楽しさを決定することになると思います。これらの重要性、あるいは優先順位のちがいは時と場合によって異なるかと思います。これが様々な問題の違いということになります。

ビジネスや仕事になれば、それはさらに定量的で測定が可能なものが増えてきます。例えば飲食店等の小売りにおいては、売上やネットの評価に象徴される顧客満足度といったものが通常時の「変数」として挙げられるでしょう。

 

緊急事態宣言でも変わる「変数」

ところが非常時、例えば現在の新型コロナウィルス(以下コロナ)による緊急事態宣言時のような状況では、解くべき問題(=変数)が変わってきます。

何しろお店を開けることができない、あるいは無理やり開店させたとしてもほとんどお客が期待できない状態では、「問題」は売上や顧客満足度ではなく、いかに出血を止めるかという「資金繰り」へと変わるはずです。つまり変数は「キャッシュフロー」(を最大化すること)になったということです。

緊急事態宣言を受け、多くの店が休業を余儀なくされている(photo by iStock)

同様に、当初は「経済活動」(を最大限維持すること)と「感染者数」(を最小限にすること)という2つの変数のトレードオフが解くべき問題だったコロナ対策という問題は、医療システムの崩壊リスクが目前に迫ったことによって「入院患者数」(を最小にする)という変数を最優先とした施策へと変化しました(これを最優先の変数としたために、「PCR検査数」という変数の優先順位が結果として下がったことになります)。

同様に、各国によって、あるいはその感染状況の進展状況によって本問題に関する「変数」は異なっていました。つまり同じコロナ対策といっても複数の種類の「問題」が同時進行していたためにその解決策も千差万別であったことになります。