テレワークできるのにやらない…日本での普及を阻む「3つの壁」

ポスト・コロナの働き方を考える
治部 れんげ プロフィール

テレワークの壁3:エッセンシャル・ワーク

最後に、仕事の性質からテレワークができない職種について考える。医療、介護、保育など人の直接的なケアをする職業や、郵便、宅配便など物理的にものを運ぶ職業、食料品販売業や清掃業、運輸業などが該当する。特徴は、サービス提供と消費が同じ場所であることだ。

海外で都市封鎖を実施している国でも、こうした職種「Essential work(エッセンシャル・ワーク/必要不可欠な仕事)」に従事する人は出勤を認められている。これは労働者にとっては良い面と悪い面がある。良い面はコロナ対応で需要が減らず(むしろ増えることもある)、雇用と収入が維持できること。悪い面は通勤しなくてはいけないことと、対人接触を減らせず感染リスクがあることだ。

〔PHOTO〕Getty Images
 

私たちは皆、エッセンシャル・ワークに依存して生活している。それに従事する人たちがいなくては生活が成り立たないから、まさにエッセンシャルな仕事だ。「重要な仕事を担う人たちが公衆衛生上のリスクを負うのは不公平なことだ」ともし思うなら、この分野において行動を変えるべきは労働者ではなく消費者だろう。エッセンシャル・ワークの中には、重要度やリスクに見合わない、低賃金の仕事もある。この問題は私たち消費者の意識を変えないと解決できないものだ。

最後に2つ提案したい。第一に、消費者はエッセンシャルワーカー達に過剰なサービスを要求しないこと。第二に料金の値上げがあった場合、それが働き手の賃金に回るなら、受け入れることだ。ポスト・コロナの働き方を考える時は、同時に消費者の期待のありようも変える必要がある。