コロナで国のご都合主義が露呈…効率化する医療の“大変な末路”

「丁寧な看護なんてできなくなった…」
小林 美希 プロフィール

「医療は効率化に馴染まない」

厚生労働省の「医療施設(動態)調査」によれば、2018年10月1日時点の医療施設数は、合計で8372か所ある。そのうち、「国」(厚生労働省、独立行政法人国立病院機構、国立大学法人など)が324か所、「公的医療機関」(都道府県、市町村、日赤、済生会など)が1207か所である。これに対して、医療法人は5764か所で全体の約7割を占めるが、公立・公的な病院だけが再編のターゲットになっている。

こうした矛盾のなかで公的・公立病院が現在、コロナの治療を最前線で担っている現状について、日本医療労働組合連合会の森田しのぶ中央執行委員長も憤る。

「公立・公的病院を統廃合すると国は対象病院リストで名指しされた424病院のうち24病院は感染症指定病院だ。医療は効率化に馴染まない。公立・公的病院の再編・統合、病床削減計画は、ただちに中止・撤回すべきだ。命を守る最後の砦として病院が存続するよう求めていきたい」

 

前述の連合総研の平川主幹研究員は強調する。

「ここ数年、理不尽なまでの“バッシング”を受けてきても、公的・公立をはじめとする感染症病棟のある病院の看護師は正義感・使命感で頑張っている。感染症病棟がない公立病院でも、いつかは感染症病棟に派遣されるかもしれない、という不安と覚悟を持って仕事している看護師もいる。

今、感染症に対する公的・公立病院の期待が高まっているが、新型コロナウイルスの感染拡大が終息したら、また、公的・公立病院の病院統廃合・病床削減を今までと同じような方法で議論するのだろうか。公的・公立病院の経営体力を削ぐような方向はやめ、客観的なエビデンスのもと、本来あるべき医療提供体制を考えるべきだ」