タイムラグのない「発表」が格差を減らす

アナログだと、一人ひとり発表する、ということになりがちだ。人前で発表する経験も大事ではあるが……。

「『気づいたことをノートに書いてごらん。感想を発表しあって意見しよう』とグループ学習になる。従来のアナログな授業では、感想を教師が書き起こしてまとめた紙を次の授業で配るのが一般的です」

ところが、パソコンがあれば……。

「そのみんなの意見を瞬時に、簡単に、共有できるわけです。記録に残して後で見返すこともできるし、その場でも後でも意見交換ができます」

板書しなくても、コピーを取らなくても、瞬時にそれぞれの意見を共有できる。スピードも大切だ Photo by iStock

なるほど。アナログではその場での共有が一人か二人の発表で終わってしまう。心が高ぶったときのベストなタイミングでの共有は大切だ。それに、デジタルにすれば、教師と児童、だけでなく、児童と児童でもインターラクティブな学びになる。

「もう一点。子ども同士で『共有ができる』ということがどういうことかというと、ダイバーシティー(多様性)なんです。例えば同じことをアナログでやるとどうなるか。『みんな、どんどん自分の意見を書いて。みんなで見てまわろう』なんて言って。僕もよくそんなふうに子どもたちに共有させました」

教室でよく見る風景ではある。

「ところが、そんなとき子どもがどうするか知っていますか? ノートを隠すんです。自分の汚い字を見られたくない。そんなに汚くない子でも、ノートを隠したがります。内容を読まれたくないというのもあるでしょうが」

これがタブレット学習だと違ってくる。

デジタルでやると、自分が書いたものを隠しません。タイピングされた文字は綺麗ですから、抵抗感がないんですね。パッと、瞬時にみんなで共有できる。」

そう聞くと、逆に子どもの学習格差を是正できるツールに感じられる。

「その通りです。大きいのは、支援を必要とする子を救える点です。例えば、英語のICT活用コンテンツ。英語が画面に出てきて、音声認識をして発音の正確さみたいなものを点数化するアプリがあります。それを子どもたちにしてもらうと、驚いたことに場面緘黙(ばめんかんもく)の子がしゃべっていたんです。私たちの前では絶対しゃべらない子が生き生きとパソコンに向かってしゃべっている。クラウドで録音していたので気づいたんです」

相手が人ではないから話せたのだろう。そういった支援が必要な子たちをアシストできる可能性は高いのだ。

「よりよい社会を築こうとか、問題を解決したいときはテクノロジーは絶対に必要になる。学びのためのICT教育です。従来の授業でも、遠隔でのオンライン授業でも、子どもたちの意欲は何も変わりません」

リアルな授業はもちろんライブ感はある。だが、遠隔の利点も見逃せない。そこをもっと具体例を挙げてみんなに広めていくことが重要だろう。
ICTは、子どもが仲間を共有したり、一人ひとりの気づきの場を開いてあげるツールだということ。そういったことを教師や保護者が受け止めて、認識を変えていってもらえたらと思う。

人類の歴史において混乱は必ず「変革」を生んでいるのだから。