コロナ長期化、日本政府は「高齢者を見捨てない」と約束できるか?

欧州で始まった「悪魔のプラン」の誘惑
野口 悠紀雄 プロフィール

「悪魔のプラン」への道筋

以上の考えは、もっと進めることができる。

「コロナで高齢者が死亡して少なくなるほうが、長期的な経済成長に役立つ」という考えは、ありうる。

それは、つぎのようなものだ。

コロナで高齢者の半数が死亡したとしよう。すると、年金給付は半分になる。医療費も激減する。病院での待ち時間は少なくなる。税収は不変だから、一挙に財政再建ができる。労働生産性も上がる。

このようによいことばかりだ。

もう少し精密に、「感染症対策の費用に上限を設けるべきかどうか」という考えもある。ニュージーランド(NZ)では、有力研究機関がこの問題に挑んだ。

そのおおよその結論は、つぎのようなものだ。

3万3600人(感染拡大が放置された場合に予想される死者数)の国民の命を救うのに、国内総生産(GDP)の6.1%相当額までなら、政府は支出を経済的に正当化できる。

死者数を1.26万人(感染拡大が抑制された場合の予想死者数)にとどめるのを目的にするなら、GDPの3.7%までの医療関係費しか正当化できない。それ以上費やすより、別の目的にあてるほうが、長期的にはより多くの人命を救える。

 

支出額がこれ以上膨らめば、道路や建物の安全性を高めたり、別の医療サービスに充てたりする方が、長い目で見るとより多くの命を救えるという。

これは、「悪魔のプラン」と呼ぶしかないものだ。

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