深刻すぎるコロナ危機で、ヨーロッパが自信喪失している

「アジアに学べ」という声も…
笠原 敏彦 プロフィール

「監視資本主義」の拡大

一方で、「アジア型ハイブリッド民主主義」が危機管理で効果を上げている。

この点について、前回の当コラム「新型コロナ危機で露呈、グローバル化世界の『厳しすぎる現実』」でも引用したイスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏(世界的ベストセラー『サピエンス全史』の著者)は英紙への寄稿文でこう指摘している。

「新型コロナ封じ込めで最も成功しているのは、韓国や台湾、シンガポールだ。これらの国は追跡アプリも活用しているが、それ以上に広範な検査と誠実な申告、十分な情報提供に基づく市民の積極的な協力に依存したことが功を奏している」

要点は、「中国のような監視国家か、欧州のような自由民主主義国家か」という単純な二者択一ではなく、柔軟にIT技術を利用しながら、市民への情報提供と協力に基づいた危機対応を行うことが効果的だということである。

欧州諸国はパンデミック終息後、今回の爆発的な感染拡大の原因、経過を検証し、将来の対策を検討するプロセスにおいて、プライバシーの問題をめぐり揺れることだろう。

 

民間部門に目を向けるなら、アメリカの「GAFA」のような巨大IT企業による個人情報収集をベースにした「監視資本主義(surveillance capitalism)」がどんどん拡大しているのが現実である。

その意味においても、今回のパンデミックはグローバル化、デジタル化世界における民主主義の在り方にも影響を与えることになりそうである。