日本も「集団免疫の獲得」という茨の道へ進むしかないのか

決断のときが近づいているかもしれない
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人口の半数の感染が必須

3月末にこの論文が、査読前の論文を掲載するサイトに投稿されると、瞬く間に世界中に広がった。あくまで疫学上の仮説に過ぎないにもかかわらず、世界中の研究者が注目。実際にオーストラリアの小児医療研究所が、国内の医療従事者約4000人を対象に臨床研究を始めている。

国立国際医療研究センター病院・トラベルクリニック医長の氏家無限氏が話す。

「BCGのワクチンには、一部の免疫に作用することで、結核の予防以外の効果があると言われています。実際に膀胱がんの治療に使用されたり、寄生虫による症状にも効果があるとされています。今回の新型コロナウイルスのような呼吸器感染症についても効果があるという報告もあるのです」

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ただ、科学的な裏付けもなく、日本ワクチン学会が「BCGが新型コロナに有効という仮説は科学的に確認されたものではなく、現時点では否定も肯定も、推奨もされない」という声明を出している以上、BCG接種による感染抑止は期待できる状態ではない。

 

現状、残された手は「結果的集団免疫」しかないというのが厳然たる事実なのだ。

人口のどの程度が感染すれば、「結果的集団免疫」状態になるのか。公衆衛生学が専門で、カリフォルニア大学アーバイン校准教授のアンドリュー・ノイマー氏が語る。

「感染を抑えるために、どれだけの人が免疫を得る必要があるかは、ウイルスの種類によって異なります。はしかのように非常に感染力が高いウイルスの場合は、人口の95%以上が免疫を得る必要があるとされています。

スペイン風邪は約50%、ジカ熱は人口の66%が免疫を得る必要がありました。新型コロナの場合は、50~70%が免疫を獲得する必要があると考えられます」