「アベガン」の声も…安倍官邸が猛プッシュ、アビガンは本当に効くのか

疑問を呈する専門家も少なくない
長谷川 学 プロフィール

米国では候補薬に入っていない

さらに、アビガンには新型コロナ以前から疑義が示されてもいたという。

「アビガンの添付文書はインターネットで公開されていますが、それを見ると、もともとの抗インフルエンザ薬としても十分な有効性が証明できず、タミフルに劣っているという事実が書かれています。米国や欧州ではそもそも承認されておらず、米国感染症学会の新型コロナ治療ガイドラインでは候補薬の1つにさえ入っていないのです。

それなのに、テレビのワイドショーでは、軽症患者にもどんどん使うべきとか、早期承認せよ、といった推進の大合唱。強い疑問を持たざるを得ません」

 

薬理学が専門の金沢大学医学部の小川和宏准教授は、「臨床試験の結果が出るまでは、アビガンは “効く” とも “効かない” ともわからない」として、こう語る。

「アビガンがエボラ出血熱の治療に用いられた際には、患者の体内のウイルス濃度が低い段階で使用すれば、死亡率がおおむね半減しました。感染しても多くが重症化せずに回復する新型コロナと異なり、エボラ出血熱では感染すると80%前後が亡くなっていたので、効果を評価しやすいのです。

また試験管内では、多くのRNAウイルス(新型コロナも同種)を抑制することが、かなり前から報告されていますが、人間で効くかどうかは、それぞれのウイルス感染症について臨床試験をやってみないとわかりません。そのための治験が現在行われているのです」