「アベガン」の声も…安倍官邸が猛プッシュ、アビガンは本当に効くのか

疑問を呈する専門家も少なくない
長谷川 学 プロフィール

厚生労働省はかなり慎重

周知のように、アビガンには強い副作用があることがわかっている。動物実験で胎児に奇形が生じる可能性が確認されているのだ。このため、妊婦や妊娠している可能性のある女性への投与は禁止。妊娠する可能性のある女性についても、投与期間中と投与後7日後までの避妊が求められ、さらに男性患者についても、アビガンが精液に入り込むことから同様の厳しい使用制限が課されている。

こうした重大な副作用があるため、抗インフルエンザ薬として使用する場合でも、「高病原性の新型インフルエンザが流行し、他のすべての抗インフルエンザ薬が効かないときに限り、国の要請があったときに限って患者への投与が検討される」と厳しく使用が制限されているのである。

「厚労省がアビガンの取り扱いに慎重な姿勢を崩さないのは、サリドマイドや血液製剤によるエイズ感染被害など、過去に何度も重大な薬害被害が起きてきたからです。とくに血液製剤による薬害事件では、厚労省の課長が業務上過失致死容疑で逮捕され、有罪になっている。このため厚労省は、同じような薬害被害は絶対に起こしてはならないと慎重になっているのです」(厚労省関係者)

 

薬害問題に詳しい江戸川大学の隈本邦彦教授が語る。

「新型コロナ感染症は8割が軽症ないしは無症状で回復する病気ですから、飲んだ患者が治ったからといって、自然経過との区別はまったくつかないでしょう。薬の本当の効果は、プラセボ等の対照群と比較する厳密な臨床試験でしか証明できません。いまのところ結果が公表されている中国の2つの臨床試験はいずれも二重盲検ではなく、患者の選びかたが恣意的である可能性があるなど、信頼できません」