コロナウイルス時代にデフォー『ペストの記憶』が教えてくれること

「事実を求めるための感性」の磨き方
武田 将明 プロフィール

日本におけるコロナウイルス対策の迷走ぶりを見るにつけ、このおよそ10年間、人びとに安心をあたえるべく機能してきた虚偽のシステムの底の浅さが露呈したような感覚を抱かずにはいられない。

日々、医療現場で懸命の対応をされている方々には心から頭が下がる思いだが、感染症の検査を含む医療体制の不備は、どのように統計を解釈しても覆い隠せるものではなく、この局面の変化を行政が理解していないことを悲喜劇的に露呈したのが、世帯ごとに布マスク二枚配布という奇策(?)であろう。

 

もちろん、私たちがいま経験しているのは前例のない事態であり、客観的に正しい答えを見出すのは極めて困難である。しかし、それだからこそ、答えなどないと開き直るのではなく、適切な危機意識を研ぎ澄ませ、少しでも正解に近づこうと努めるべきだ。『ペストの記憶』は、正しく恐れ、事実を求めるための感性を、現代の読者に授けてくれるだろう。

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