コロナで看護崩壊…院内感染リスクと長時間労働の「深刻すぎる現実」

戦々恐々としながら働かざるを得ない
小林 美希 プロフィール

これは政治の結果だ

早くからコロナの感染が拡大していた北海道でも、2交代夜勤の病院でコロナ患者を引き受けているケースがあり、北海道医療労働組合連合会(北海道医労連)によれば「国立病院などの感染症指定病院よりも労働条件の良くない民間病院もコロナ感染者の受け入れが始まっており、看護師は一層、疲弊していく」という危機感が増しているという。

北海道医療労働組合連合会(北海道医労連)の鈴木緑執行委員長は、白血病などの患者を看る血液内科病棟で勤務した経験があり、コロナを機に2交代夜勤の導入が加速することを、強く懸念する。

「白血病の患者を無菌室(クリーンルーム)で治療するときは、看護師も防護して出入りする。2交代の夜勤では防護服を着たまま夕方4時頃から翌朝9時頃まで16時間もの間、コロナに感染した患者を看ることになる。夜勤中に仮眠をとらなければならないが、実際に看護師が仮眠に入れば、急変しがちな患者のナースコールに応えられなくなってしまう可能性が出る。結果、仮眠もとらずに16時間連続して緊張した勤務に当たることになり看護師は疲弊する。呼吸苦があり、命に関わる感染症を看るのに2交代夜勤は適さない」

看護師の7割が辞めたいという状況に追い込まれながら、国は抜本的な看護師不足の対策を打ってこなかった。前述の北海道医労連の鈴木委員長をはじめ、多くの看護師が「私たちの声に耳を傾けてこなかった政治の結果だ」と憤る。

〔PHOTO〕iStock

筆者が『看護崩壊』(アスキー新書)で看護師の労働問題をまとめた2011年、次に『ルポ 看護の質』(岩波新書)を2016年に上梓し看護労働の改善を求めたが、看護師を取り巻く環境は悪化するばかりだ。コロナで完全に看護が崩壊すれば、犠牲者は増えていく。

国会では4月30日に2020年度補正予算案が成立したが、コロナ対策の予算は医療よりも、まだ迎えてもいないコロナ終息後の消費に重きを置いている。医療や看護が身近に迫った今、一人ひとりが政治を考え、国が医療に財源を投入して早急に対策を講じるよう世論が形成されなければならないだろう。

ナイチンゲールの生誕にちなんだ5月12日は「看護の日」。2020年はナイチンゲール生誕200周年という記念すべき年だ。看護師の抱える問題について改めて考えたい。

 

(つづく)