コロナウイルスの脅威で、巣ごもり生活を強いられている人は多い。急に家族がそろって毎食食べるようになったので、ふだんより料理の回数が多くなっている。いつもは外食しているのに、行けない。自宅の近所に適当な総菜を売っている店がない。さまざまな事情で、いつもより料理しなくてはならなくなった人が多いのではないだろうか。

今回は、自分用に料理する人のために、最近増えている自炊レシピ本について考えたい。それは、ライフスタイルが多様化し、若者から高齢者まで、1人暮らしをする人が増えていることに対応したものだ。家族と暮らしていても、自分の分だけ作る必要がある人にも、便利である。自炊本を通して、レシピ本の世界で現在進行中の変革についても考えてみよう。

『自炊本』『自炊のトリセツ』

まずオーソドックスなレシピ本として、2010年に刊行されたベターホーム協会のロングセラー『自炊本』をみてみたい。

1人暮らしは好きなものを好きなように食べられるが、発想が貧困になりがちである。家族の事情を考える必要も、リクエストをもらうこともないからだ。同書は、基本的な料理は知っている人が、アイデアをもらうのに便利な本。10分で完成することを前提にしているので、炒め物や、材料を合わせて煮るだけの料理が多い。

一番助かるのは、主菜から残った食材の使い切り料理まで網羅した、104ものレシピが掲載されていること。1人分の肉じゃがやハンバーグ、今も流行する油淋鶏、ヘルシーそうな豆乳リゾット、沖縄料理でおなじみのゴーヤーチャンプルーやタコライス、定番のエビチリ、サバの味噌煮、おしゃれな印象の白身魚のイタリアン蒸しなど幅広い。

料理するうちにレパートリーが広がり、やがて家族につくるようになっても対応できるトレーニングになりそうなレシピ本である。