脅迫・中傷・投石・落書き・密告…多発する「コロナ差別事件」の全貌

もう魔女狩りや隣組を笑えない
辻田 真佐憲 プロフィール

「まだ営業しているぞ」と密告も

厳密には差別と異なるが、自粛の強要も今回見逃せないできごとである。

東京都港区では、スポーツクラブのドアが、まだ営業していると腹を立てた男に破壊された(ライブドアニュース。日本テレビ配信、4月9日)。

大阪府では、「対象の店が営業している」との通報が同府のコールセンターに4月20日までに500件以上寄せられた。また、営業再開の方針を打ち出した吹田市のレストランには、「なぜだ」「見損なった」との批判メールが多数届いた(共同通信、4月20日)。

東京都杉並区では、ライブハウスに「次発見すれば、警察を呼びます」という自粛を求める紙が張り出された(ハフポスト、4月27日)。

 

日本で「自粛要請」が機能するのは、「民度が高い」からではなく、このような「道徳自警団」や「自粛警察」の私的制裁が存在するからだ。しかもこれらの人々は、しばしば「地域を守るため」「家族を守るため」善意でやっているのだから、手に負えない。

おそらく役所の電話口には、「あいつの家はひそかに旅行しているぞ」などという通報がいくつも届いているのではないか。驚くほど陰湿な相互監視社会である。