脅迫・中傷・投石・落書き・密告…多発する「コロナ差別事件」の全貌

もう魔女狩りや隣組を笑えない
辻田 真佐憲 プロフィール

また、政治家が実名で、悪質な発言をするケースも見られた。

国土交通省の大臣政務官は、3月30日、感染した京産大の学生を念頭に「卒業後は、どこに入社する予定だったのかな?!」とツイートした。

大阪府泉南市の市議は、4月10日、自身のフェイスブックに感染者を「高齢者にとっては殺人鬼に見える」と投稿し、謝罪に追い込まれた。

これ以外にも、ヨーロッパを旅行した学生にたいする批判が多かったが、3月頭だと、感染症もそれほど広がっていなかった。それで「無責任」と責め立て続けるのは、あまりに酷薄ではないか。

そもそも、日本は同月24日まで東京オリンピックを開催する予定だったのであり、都知事も19日に「中止も無観客もありえない」と強調していたことも思い出したい。

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県外ナンバーに、暴言、あおり運転、投石、傷つけ……

差別的な行為は、発言だけに留まらない。

兵庫県小野市では、医療機関の関係者や患者らが、ばい菌扱いされたり、出勤停止にされた(東京新聞、3月28日)。

京都府城陽市では、感染者の名前が書かれた真偽不明の紙が住宅の壁などに張り出された(共同通信、4月8日)。

三重県では、感染者の家に石が投げ込まれ、壁に落書きされた(朝日新聞、4月22日)。

 

いずれも深刻な人権侵害だが、本来ならば警鐘を鳴らすべき公的機関も、ときにこれに拍車をかけているのだから始末に負えない。