『サザエさん』炎上はホント? コロナで加速「不謹慎狩り狩り」とは何か

SNSとメディアが怒りを増幅しあう
山口 真一 プロフィール

今、新型コロナの感染拡大と長引く外出自粛で、多くの人が閉塞感を抱いている。生活と経済状況に不安を抱える人が増え、ストレス発散できる手段も限られている。人はこういう時には、誰かのせいにしたり、誰かを批判したりしたくなるものだ。

自分の正義の基準にそぐわない人を叩く行為によって、脳内でドーパミンが分泌され、快楽が得られることが指摘されているix

だからこそ、一歩引いてみよう。「いま見ている情報は偏っているかもしれない」「わざわざ世界に発信するほどのことではないかもしれない」。一人一人がすこし間を置くだけで、社会の窮屈さはぐっと軽減されるのだ。発信力のある著名人は、特に気を付ける必要がある。

もう1つ、メディアの役割も無視できない。今回の件でいえば、最初に報じられた記事では「ちょっとした“炎上”状態に」なっていると書かれていた。これがフェイクニュースかどうか判断するのは難しい。なぜなら、「ネット炎上」には明確な数の基準や定義がないからである。

しかしそうした報道の結果として、SNS上で批判の嵐が吹き荒れ、不寛容な空気が生まれることに繋がってしまったのは事実だ。いまこそメディアの役割をもう一度見つめなおし、いたずらに怒りや対立を促して、社会を煽らないようにする必要があるだろう。

 
[i] 「「サザエさん」がまさかの“炎上”…実社会がコロナ禍の中でGWのレジャーは不謹慎と」、https://www.daily.co.jp/gossip/2020/04/26/0013300127.shtml
[ii] 「4月26日のサザエさんが不謹慎だと言った人は11人しかいなかった話」、https://note.com/torix/n/n0f3c61300ac4?fbclid=IwAR2LouJGgJ5UusNxjtCGMKzCopJ9iT9KxYwbs0aWZQhA4Z6Dr-cJZq4wKF0
[iii] Yahoo!リアルタイム検索より筆者作成。
[iv] 藤代裕之. (2016). テレビが" ネット炎上" を加速する (特集" ネット炎上" とテレビ). Galac= ぎゃらく, (568), 12-15.
[v] 吉野ヒロ子. (2016). 国内における 「炎上」 現象の展開と現状: 意識調査結果を中心に. 広報研究= Corporate communication studies, (20), 66-83.
[vi] Fan, R., Zhao, J., Chen, Y., & Xu, K. (2014). Anger is more influential than joy: Sentiment correlation in Weibo. PloS one9(10), e110184, 1-8.
[vii] 放送開始より4月28日16時時点までの分析。
[viii] Googleトレンドより筆者作成。ただし、東日本大震災時にあまりに多く検索されており目盛りが見づらくなるため、最大値を30としてグラフ化している。
[ix] 中野信子. (2020). 人は、なぜ他人を許せないのか?. アスコム