『サザエさん』炎上はホント? コロナで加速「不謹慎狩り狩り」とは何か

SNSとメディアが怒りを増幅しあう
山口 真一 プロフィール

かつて東日本大震災の時には、通常の発信に対して「不謹慎だ」と指摘する批判が多く発生した。次から次へと広告が自粛されたり、芸能人が活動を自粛したりしたことを覚えている方も多いだろう。ネット炎上も頻発した。

その後、熊本地震でもそのようにストレートな「不謹慎だ」という指摘はあったが、むしろそうした指摘を窮屈な「不謹慎狩り」とさらに指摘し、不謹慎狩りを批判するような言説・記事も現れるようになった。

そしてこの新型コロナでは、「『不謹慎狩り』を狩ること」が、むしろ炎上状態を引き起こす「主役」になっている。「サザエさんが炎上!」といっても、実際には「サザエさん」そのものが炎上しているのではなく、その後の「不謹慎狩り狩り」こそが炎上を引き起こしているのだ。

 

不寛容と不寛容の衝突

この件では、「フィクションにまで自粛を求めるとは、なんて窮屈だ」といった意見も多く見られる。しかし、先の調査によれば十数人しか存在しなかった「批判者」たちに対して、「フィクションにまで自粛を求めるな」と大勢が声を揃えて批判することもまた、窮屈で不寛容ではないだろうか。

ネットが普及して不寛容な社会になったといわれるが、ウェブの世界を正義と正義がぶつかりあう窮屈な社会にするかどうかは、結局は我々自身の手にかかっているのである。

そのような窮屈な社会にしないために、すぐできることがある。「こんな奴がいるのか、けしからん!」と思って反射的に批判を書き込む前に、一旦深呼吸をしてお茶でも飲んでみよう。自分の周りにいなさそうな人が、果たして社会にたくさんいて、大声で騒いでいるというのは本当だろうか。仮にいたとして、わざわざやり玉に挙げるようなことだろうか。