『サザエさん』炎上はホント? コロナで加速「不謹慎狩り狩り」とは何か

SNSとメディアが怒りを増幅しあう
山口 真一 プロフィール

「SNS発のニュース」負の側面

たった11人の批判で炎上が発生し、さらにその炎上に対する批判がこれほど盛り上がるというのは、不可解な話だ。しかし現実にツイート数が急増していたことは、Yahoo!リアルタイム検索で見たツイート数推移からでも明らかである(図1)。

これを見ると、『サザエさん』放送時にはほとんど投稿されていなかった「サザエ 不謹慎」を含むツイートが、最初にメディアで報道されてから急増し、さらにその後インフルエンサーがそれらの記事に言及したことで、瞬く間に広まっていったことが分かる。

図1「サザエ 不謹慎」のツイート数推移(最大値を100とした指標)iii

いやそんなはずはない、『サザエさん』を不謹慎と非難している人を見た!と思う読者の方も多いかもしれない。しかし、その記憶は本当に『サザエさん』を不謹慎と言っている人のツイートだったのだろうか。もしかしたら、そう報じているメディアを引用した投稿や、見出しを見ただけではないだろうか。

このように話題が広まっていく背景には、メディアとSNSの共振現象があるiv

昨今のメディアは、マスメディアまで含めてSNSの投稿やトレンドを見ており、ネットの騒動を取り上げることで多くの人の注意をひこうとしている面がある。SNS上の投稿や有名人のちょっとした書き込みをもとに、センセーショナルな見出しを付けて報じることも珍しくなくなった。

そうすると、以前ならSNS上の「ぼやき」で終わっていた投稿が、多数の閲覧者を抱えるメディアで取り上げられ、今度は「メディアの情報ソース付きで」SNS上で拡散されることになる。SNSで話題になると、さらにほかのメディアも食いついて報じる。このように、SNS⇒メディア⇒SNS⇒メディアと繰り返す中で、雪だるま式に閲覧者が増えていくのだ。

「ネット炎上」が起きていることを人々が認知する媒体として、Twitterが約20%だった一方で、テレビのバラエティ番組は約60%だったという研究結果もあるv。炎上において、マスメディアの果たす役割は大きい。