中村 iUには、「学生は全員起業をする」という目標もあります。
でも、多分ほぼ全員の起業は失敗するでしょう。けれど、失敗は大事ですよね。だから、「失敗大学」みたいな感じにしようかなと思っていて。
そういうと最初からみんな失敗を視野に入れちゃうから、卒業生が出るまでは全員起業に成功して「就職率ゼロ」になることを目指します。
岡嶋 そのコピー、カッコいいです。新しいことが始まるのはわくわくしますね。
中村 起業といっても、街角で商店街を活性化するための手助けをするようなアプリを作ってみたとか、いわゆる社会起業とかシェアリングエコノミーのしくみを作ってローカルの活性化をしますとか、身の回りの問題解決をするとか、何でもいいと思うんです。
まず、どうしてそれをやるべきなのか、何が面白いのか……ということを整理して、次にソレを人に伝えて、共有して……そうして、何でもいいからやってみる、作ってみるのは、本当に大事です。
岡嶋 頭で分かっているのと、実際に自分でやってみるのは、すごい隔たりがありますもんね。
中村 こういうことをやりたいとか、こんなものを作りたいっていうのは、まだアイデア。実際にお金を集めて、実装して、経営して、お客さんに使ってもらって、ビジネスになりました、というところまでが本当の仕事です。それができるようにするのが、僕らの大学の目指すところ。

岡嶋 そういうチャレンジがあって、学生がやらせてくれって言ったとしても、既存の大学はそれを抑える方に回っちゃってると思うんです。やるのはいいけど、大学は関われないし、自己責任だよと。大学がそれをサポートしてくれる、後押ししてくれるっていうのはいいですよね。
中村 さっき岡嶋先生は、プロデュースという言葉を使っていましたが、本当にそうだと思います。大学は、大きなプロダクションみたいな方向に行くのもありだと思うんです。
新参の大学なので、学問や知識をきっちりと研究して教えるっていうところじゃ競争力がない。でも、研究とか知識ならば、世界中のいろんな人たちをつないで教えてもらえたらいい。そのほうが面白いかなと思うんです。

中村 これは自分の首を絞めることになるかもしれないと思いながらやるんですけど、スポーツでもオタクでも、授業を受けたら認定書を出して、学習履歴が残るようにすればいいと思うんです。
この履歴書とうちの大学の卒業証書と、どっちが値打ちがあるのか? こっちはこっちで、それに負けないように学生達に価値を与えていかなきゃいけないですよね。
岡嶋 iUはそういうインフラにもなっていくのですね。楽しみにしています。学歴より学習歴という動きは、すでに出てきていると思います。自分の書く本が少しでもその役に立てたら嬉しいなと、いつも思っています。