甲子園通算20勝2敗。プロでも173勝141敗。そのピッチングは中学時代に完成されていた(photo by gettyimages/以下同)

【証言 球界レジェンド】桑田は中学時代にプロを超える投手だった

西山秀二の「ザ・捕手目線」第4回
西山秀二による野球解説動画「ザ・捕手目線」の第4回。捕手としてプロ野球で20年、数多くの投手の球を受けてきた西山さんが、最高の投手だったと振り返るのは、プロ入り後ではなく、高校野球時代でもなく、中学でバッテリーを組んだあの天才投手だった。
 

構えたところにしかボールが来ない桑田

——西山さんは、大阪府八尾市立中学の野球部で、桑田真澄さんとバッテリーを組んでいましたが、以前お話をうかがったときに、今までボールを受けたなかで桑田さんが最も完成度が高かったとか?

西山: そうですね。総合力という意味では、桑田は、僕が受けたなかではナンバーワンのピッチャーでした。

中学時代の彼は、ほぼ打たれることがなかったです。信じられないかもしれないですが、構えたところにしかボールがこなかったですからね。ここっていうとそこしかこないわけですから。追い込んでから意表をついてインサイドに構えたら、そこにドーンとくるわけですから、バッターは手も出ないですわね。本当どうにでもできたわけです。

投手としてだけではなく、守備と打撃も一級品だった桑田

牽制なんかでも、ファーストを見ずに僕の手の動きだけを見て、パッと牽制するというサインがあったんですよ。

ランナーがリードしてる。それを僕が見てるわけですよ、横目で。サインは、パーにしたら、そのあと球種に入るんですが、グーで止まったときは牽制なんですよ。

普通のピッチャーだったら、構えてからファースト方向を見てから牽制するじゃないですか。そうすると、ランナーも牽制の可能性もあると思っているから戻れるじゃないですか。

僕はグーにするときに何を見てるかっていうと、ランナーの動きを見ているわけですよ。ランナーが最後に二塁方向に体重がかかった瞬間にパッとやるんですよ。体重がかかった瞬間だからランナーは戻れないんですよ。それでアウトにしたこと何度もあるんですよ。

桑田は、中学生のときにそんなことを当たり前のようにやってたんです。

プロに入ったときに、牽制の練習になると、「そんなん、中学生の桑田が普通にできたのに、プロ野球でなんでこんな必死になって練習するんかな」って思いましたもん。できへんやつがおるっていうのが信じられなかった。「ようこれでプロ野球来たな」って。

中学時代に桑田と普通にやってたことが、プロ野球に入ってみると当たり前ではなかったわけですよ。「え? キャッチャーのサインどおり投げられないやつがプロ野球に入れるんですか?」って。桑田の球を受けていたから、そういう感覚なってましたね。