「子どものいる離婚」を連載している上條まゆみさんは、この1年ちょっとで30組ほどの離婚体験を取材してきた。実は自身も「子どものいる離婚」を体験した一人だ。その上條さんに、ご自身の体験や今までの取材をもとに、「コロナ離婚」の背景や決断する前に考えたほうがいいことを伝えてもらおう。

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人が離婚を決める理由

「子どものいる離婚」の連載を始めて1年以上が過ぎ、これまで数十人の離婚体験を聞いてきた。こじれにこじれて別れた夫婦。あっさりと終わった夫婦。別れの経緯は壮絶なのに、意外にもその後は父母として仲よく付き合っている夫婦。若い二人が結婚に至る経緯はどれも似通っているけれど、離婚となるとそれぞれに違ったストーリーがある。人が離婚を決める理由はさまざまだ。

離婚の理由に重いも軽いもなく、正しいも正しくないもない。他人はそれをジャッジできない。本人が「もうダメだ」と思ったら、それはもう立派な離婚の理由なのだと思う。
「もうダメだ」という瞬間は、ある日、突然やってくる。心の中の「いやだ」「つらい」のスタンプがカードいっぱいに貯まったとき、人は離婚を決断する。

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「コロナ離婚」の背景とは

「コロナ離婚」というワードが巷で話題になっている。自粛やテレワークの要請で、夫婦が一緒に過ごすことが増え、そのぶん夫婦の諍いも生じやすくなった。家事育児の分担でもめる、互いにペースが乱されることでイラつく、価値観の違いが浮き彫りになる。健康不安、経済的不安が、さらに不仲を加速する。離婚をスタンプカードにたとえるなら、いまはスタンプ2倍、3倍キャンペーンが実施されているようなものだ。

政府は「うちで過ごそう」と簡単に言うが、誰もが何部屋もある豪邸に住んでいるわけではない。狭い家で、24時間ずっと一緒。カフェや図書館などの逃げ場も、いまはない。たとえ仲がよくたって、ストレスはたまる。
もともとDV気味だった夫や妻が、先の見えない苛立ちから攻撃性を増し、より深刻な事態に陥ることもある。

「相手に不満があっても、そこに目を向けないようにしていたり、家庭以外の人間関係に重きをおくことで気持ちをそらしたりしていた人が、『コロナ』で強制的に家族に向き合わざるを得なくなっている。もう耐えられない、離婚したい、という声が増えていますね」と言うのは、リボーンコンシェルジュ(円満離婚アドバイザー)の飯野馨巳(なおみ)さん。

実際、なるべく接触しないことで「スタンプ」を押さず、なんとか結婚を継続してきた、いわゆる「仮面夫婦」にとってコロナはきついだろう。