昨今、腸内細菌のバランスが様々な疾病の発症に密接に関わっていることが分っています。腸内環境が乱れる要因には、食の欧米化や、行き過ぎた清潔主義、ストレスの多い生活などがあり、現代人の多くの人は腸内環境が乱れていると言われています。また免疫細胞の6〜7割が腸に存在しており、免疫力を上げるには腸内環境を整えることが大切です。

現在、新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっているさなかですが、免疫力を上げるために必要なこと、腸内環境と疾病との関係やその対処法について、一般財団法人 腸内フローラ移植臨床研究会の専務理事であり消化器病専門医である城谷昌彦医師にお話を伺いました。

城谷昌彦医師 

現代人の「腸」は弱っている!

過敏性腸症候群は若い人に多く、年々その患者数が増加しています。かつては、精神的な要因が大きいとされ、外来などでも理解されにくいことが多かったですが、最近は腸内細菌のバランスが悪いこともその一因といわれるようになりました。ですから腸内環境を整えることはこの疾患の治療に役立ちますが、一般的によく言われる「腸活」とは少し異なります。

お勧めするのは、低FODMAP(フォドマップ)食です。フォドマップとは、小腸内で消化吸収されない発酵性(F)の糖類(オリゴ糖(O)、乳糖などの二糖類(D)、果糖などの単糖類(M)、and(A)、糖アルコール(P))の総称で、低FODMAP食とはこれらを減らした食事療法です。

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過敏性腸症候群の人の中には、FODMAPを摂りすぎると逆効果のことがあるのです。本来小腸内には大腸内に比べ非常に少ない数の腸内細菌しか生息していません。しかし過敏性腸症候群では小腸内に細菌の異常増殖(小腸内細菌異常増殖症:SIBO)を合併する場合が多く、発酵性の糖類は、小腸内の腸内細菌のエサになりガスを発生させやすく、過敏性腸症候群の症状を引き起こすと考えられています。

ただ、もともとFODMAPは腸内環境を整えるには良い食品ですから、低FODMAP食を長期間続けると腸内環境の悪化につながるため、ゆるやかに戻すようにします。

またライフスタイルの中で、腸内細菌のバランスを崩す大きな要因であるストレスに対するマネジメントも一緒に行なっていくことが必要です。