白は使い方を間違えるとストレスになる

医師の白衣など、衛生的な環境が求められる医療機関では真っ白が積極的に用いられてきました。その一方で、漂白されたような真っ白は反射率が高く、人の視覚や脳に与える刺激が強すぎる場合もあります。看護師や技師などの制服を中心に、白以外の色も取り入れらるようになってきました。

美術館の展示室は「ホワイトキューブ」と呼ばれます。白い空間に設置することで、作品を引き立たせるだけでなく、見る人に緊張を強いる効果もあります。白を多く用いることで、非日常になるわけです。

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「余白」「白木」という言葉があるように、日本では伝統的に白が好まれてきました。あでやかな色柄の着物に白い襟や白い足袋を合わせたり、枯山水庭園や江戸の奉行所のお白洲など、日本の典型的な風景には「白砂青松」と呼ばれる彩りが見られます。しかし、白木も白砂も真っ白ではありません。素朴な自然の色の象徴であり、きよらかな色感を好む感性のあらわれだと言えるでしょう。

現代の日本の住居やオフィスの壁は白が多く、清潔感を求められる冷蔵庫や洗濯機は「白物家電」と呼ばれるように、諸外国で普及している色が受け入れらにくい状況もあります。日本で白が好まれてきた要因のひとつとして、湿度の高さも少なからず影響しているのではないかと考えられています。こってりとしたものよりも、あっさり、すっきりした色彩を心地よいと感じるようです。

日常生活に「白がない」状態もストレスになり得ます。白いシャツ、白いパンツ、白いスニーカーなど、白のファッションアイテムを身につけると、心身が浄化されるような感覚を覚えるのではないでしょうか。白地のプリント柄、白いレースやトリミングが付いた服も白があることで、「余白」が生まれます。余白があることで、心と脳がリセットされ、色が魅力的に映るのです。