PCR検査まで最短で4日…発熱して「解熱薬」を飲むのは正解か?

新型コロナと解熱薬の関係
生田 哲 プロフィール

薬剤師と「相談」?

日本の対応はどうか。厚労省の山本審議官が3月18日参院厚労委で「購入を考える方は、店舗や薬局の薬剤師あるいは登録販売者とよく相談をしてください」と述べたという。だが、この判断を薬剤師に負わせるのは、無理がある。

では、薬剤師の団体である日本薬剤師会はというと、厚労省と連携して情報の収集に務めているところだといい、WHO(世界保健機関)のサイトを紹介している※4。そこでWHOのサイトを閲覧すると、「COVID-19感染におけるイブプロフェンの悪影響について調査中で、今の段階では、パラセタモールを服用するようにすすめている」と記載されている※5

ようやく結論らしきものにたどり着いた。コロナ感染による発熱にイブプロフェンを使用することの是非について、多くの専門家の意見は「わからない」あるいは「イブプロフェンの代わりにアセトアミノフェンを使う」である。

 

NSAIDsのメリットとデメリット

どんな薬にも効能と副作用がある。NSAIDsも例外ではない。NSAIDsはイブプロフェン、ジクロフェナク、ケトプロフェン、アスピリン、ロキソプロフェンなどの解熱・鎮痛薬を指すが、その効くしくみがわかれば、効能も副作用も理解できる。

NSAIDsは、アラキドン酸をPGE2(プロスタグランジンE2)に変換するコックス2という酵素の働きを妨げる。そしてPGE2は、痛み、発熱、抗体の生産を促進することはよく知られているが、最近、ウイルスの複製を効果的に妨げることが報告された※6。したがって、NSAIDsには、ウイルスの複製を妨げるというメリットと、抗体の生産を妨げる(免疫力を下げる)というデメリットがあることがわかる。

EUの健康専門家、厚労省、日本薬剤師会、大手メディアは、発熱したら解熱することを当然とし、その手段のよし悪しを盛んに論じ合っている。サイエンスの視点からいうと、矮小化された議論というほかない。そもそも発熱は体を守る免疫応答の重要なメンバーなのである。

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