「にわか業者」が大量参入…中国「マスク・バブル」の驚くべき実態

1月以降に新規参入が9000社も
北村 豊 プロフィール

チャイナ・クオリティー

こうした経緯を経て、中国製マスクは世界各国のマスク需要に応える形で、各国政府と中国企業間で締結されたマスクの売買契約に基づき次々と輸出されて行った。しかしながら、中国から輸出されたマスクは基準未達や品質不良により使用不能の判定を受けるケースが多発した。下記するオランダ、フィンランドおよびベルギーはその代表的な例である。

3月28日、オランダ政府・保健省は中国から輸入して新型コロナウイルスとの闘いに従事している病院へ配布していた医療用マスクが、顔への適切な密着度不足とウイルスに対するフィルター性能の基準未達で、不合格品として回収中であると公表した。

当該マスクは3月21日に中国の製造業者からの貨物が到着し、医療用マスクの不足に直面するオランダ国内の病院へ配布を開始していたものだった。回収されるマスクはEUの医療用マスク基準である「FFP2規格」に適応したマスク130万枚のうちの半数に近い50万枚以上であるという。

4月6日、フィンランド政府が中国から購入した外科手術用マスク200万枚、保護用マスク23万枚、人工呼吸器23台などを含む医療物資が中国広州空港からヘルシンキ空港へ到着し、同国社会問題・保健省の大臣であるアイノ・カイサ・ペコネンがこれを出迎えた。

翌7日の貨物検査を経て、8日にフィンランド政府は200万枚の外科手術用マスクは顔への適切な密着度不足とウイルスに対するフィルター性能の不合格により、医療環境下でのウイルスに対する防御基準を満たしていないと述べて失望を表明した。

フィンランド政府は当該マスクの購入金額を明らかにしていないが、4月8日に6億ユーロ(約720億円)の予算を使って医療物質を購入したと公表した。

4月10日付のベルギー紙「De Standaard」が報じたところでは、ベルギーが中国から輸入したマスク300万枚はFFP2規格に適応していないことが判明し、ベルギー政府は法的手段を通じて中国に返品と返金を要求する予定であるという。

ベルギー政府は3月23日に中国の貿易企業を通じて今回のマスクを購入したものだが、ベルギーは今後1カ月中に外科用マスク1500万枚、FFP2マスク300万枚を調達する必要があり、頭を抱えている。

中国から輸出された医療物資の品質不良や基準未達などに関する各国政府からの指摘はマスクだけに止まらず、新型コロナウイルスの検査キットや個人防護具(PPE: Personal Protective Equipment)、医療用手袋などにまで及んでいた。

これは恐らく、契約前のサンプル段階では問題が何も無かったのに、契約後に供給されたのはサンプルと似て非なる不合格品であったということなのだろうが、中国との商売では決して珍しいことではない。

しかしながら、4月2日に記者会見を行った中国政府・外交部(外務省)報道官の華春瑩は、上述したオランダ政府による中国製マスクの不合格判定について言及し、当該マスクはオランダの代理店が購入したものであり、売手の中国企業は医療用マスクではないことを事前に通告していたと述べ、輸出通関でも非医療用マスクと申告していたと言明した。

 

華春瑩は「中国は一貫して輸出商品の品質を高度に重視している」と強調したが、中国の実情を知れば知るほど、これを信じる記者は少なかったのではないだろうか。