岡江さんの身体状態がわからないままで
がんとの因果関係は語れない

残念なことに、このイベントのわずか2日後に岡江久美子さんの悲報が伝えられた。岡江さんは早期乳がんのため2月半ばまで放射線治療を受けていたことから、それも重症化の要因では? というコメントが一緒に報道され、多くのがん当事者の不安は募ってしまった。

しかし、岡江さんの身体状態とがん治療との因果関係など、ほとんどのことは何も分かってはおらず、感染による肺炎が原因で亡くなったことだけが真実だ。憶測で語り不安を広めることはやめ、現実だけを冷静に受け止めることに努めたい

患者らの動揺を受け、日本放射線腫瘍学会とCOVID-19対策アドホック委員会は会員へ向け連名で、『乳癌術後の放射線治療について』とし、「早期乳癌手術後に行われる放射線治療は体への侵襲が少なく、免疫機能の低下はほとんどきたさない」ことなどを記した文章を出している。

ただ、一部のがん治療で感染症にかかりやすい可能性、重症化する可能性はないとは言い切れないのも確かだ。天野氏が言うように、このことは、がんに罹患している人だけでなく、社会全体でしっかり認識しなければいけないことだ。

がん患者はリスクが高いことを知り感染しないように気を付けていても、必要な治療のために通院しなければいけない。私を含めみんなが、自分も周りの人、とくに重症化しやすい病気の人に感染させてしまう可能性がある、という前提で行動してくれたらうれしい。もし今、不要な外出をする人が減らなければ、医療崩壊が起こり、どの病気になっても少し前なら当たり前に受けられていた治療が受けられなくなってしまう。これはすごく恐ろしいことだ。

感染拡大のスペインの病院では、がん治療の現場でも予防策としてフェイスマスクが使われている。photo/Getty Images