感染症にかかるリスクの高まりは
自分が感染を広げるリスクの高まり

池上 つまりこれだけ人の行き来が盛んになった現在、これまで以上に様々な感染症にかかるリスクは高まっているとも言えるのです。かかるリスクが高まっているわけですから、かかれば今度は自分も感染を広げてしまうリスクが高くなります。 

増田 それでいうと、日本は最近でも繰り返し麻疹(はしか)が流行しています。その都度、注意喚起されて、ワクチン接種が呼びかけられているのに、なかなかうまくいきません。2019年にも麻疹が流行して、アメリカなどに渡航警戒レベルを上げられ、日本への渡航自粛が呼びかけられました。自分の周囲で起こったことでないと、どうしても他人事となってしまい、危機感がうすいですよね。 

池上 「ワクチン接種は危険だ」などと主張する人や団体もあって、接種しない人がいます。そういう人が他に感染を広げるのです。感染症に関しては、お互い様なんです。もちろんウイルスや菌にもある種の地域性などがあって、それにあわせて人間にも免疫がある、ないといった差異が生じる場合もあります。しかし、基本的に感染症は人類全体にとっての敵なんです。

増田 ワクチンや治療薬がある場合は、少しは気持ちも保てるでしょうが、それらが開発されていない場合、先行きが見えなくなりますから、とても不安になります。また、多くの人に感染が広がっていけば、社会がうまく動かなくなって、さらに大きな不安と混乱を生みます。感染症自体も厄介な問題ですが、感染症が広がることで増していく社会の動揺が大きな問題です。 

池上 大勢の人が亡くなったり、感染したり、行動を制限されたりするので、みんながピリピリして心身ともに疲弊してしまうんですよね。その一方で、人間は感染症の流行が起きて大きな被害を受ける度に、それに 対応しながら、知恵を絞っていろいろな施策も考えてきました。