その対応策のひとつとして、大企業では近年、定年前の退職を募る早期退職を実施しているところが増えています。東京商工リサーチの調査によれば、2019年の上場企業の早期退職者数は、2018年と比較して3倍にも増えているのです。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、大企業で大学・大学院卒の男性の給与が最も高くなるのは50~54歳で、2018年の平均的な月額給与は59万円です。団塊ジュニア世代にあたる45~49歳も54万円と高い水準にあり、大多数の企業では中高年の給与が重いコストになっています。
ですから、大企業は業績が好調で余裕のあるうちに、大量に採用したバブル世代や人口が多い団塊ジュニア世代の人員を削減しながら、若い世代をできるだけ多く採用しようとしています。経済のデジタル化による事業環境の大きな変化に備えるため、企業の年齢別構成の適正化を今のうちに進めておきたいのです。
リクルートワークス研究所の調査によれば、日本企業のなかには社内失業者が2020年の時点で推計408万人いるとされていますが、中高年を中心にこの人数は今後も増えていかざるをえないでしょう。
そういった意味では、日本企業が今の競争力をできるだけ保つためには、中高年ホワイトカラーへのスキル教育を積極的に進めなければならないということです。