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ペストも新型インフルも…中国はなぜ「パンデミックの震源地」なのか

新型コロナに打ち勝つために
佐藤 優 プロフィール

残念ながら、中国の公衆衛生にはさまざまな問題がある。

中国国内の防疫体制は遅れている。世界保健機関(WHO)とユニセフの共同調査によると、上水道と下水道が利用できない人口は、それぞれ三億人と七億五〇〇〇万人に達する。

慢性的な大気や水質の汚染の悪化から、呼吸器が損傷して病原体が体内に侵入しやすくなり、水からの感染の危険性も高い。

大気汚染は日本にも影響をおよぼしはじめている。大分県立看護大学の市瀬孝道教授は、偏西風に乗って中国大陸からやってくる黄砂や汚染大気が、五〇〇種類以上の微生物や金属性微細物なども運んでくると警告している〉。

 

スペイン風邪の歴史

中国の防疫体制が整っていて、初期に新型コロナウイルスを封じ込めることができていれば、パンデミックに至ることにはならなかったと思う。

パンデミックに関しては、スペイン風邪の教訓が重要だ。スペイン風邪の正体はA型インフルエンザだった。

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A型インフルエンザのウイルスには2種類のトゲ状のたんぱく質、HA(ヘマグルチニン)とNA(ノイラミニダーゼ)がある。HAは宿主の細胞に付着するときに使われる。NAはウイルスが別の細胞に乗り移るときに必要とされる。

抗原性の違いによりHAには18、NAには11の亜型が存在する。従って、理論的にはA型インフルエンザには198種の亜型が存在することになる。スペイン風邪はH1N1亜型だった。