インフルエンザの「かかりやすさ」その差は唾液にあった

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堀川 晃菜 プロフィール

その結果、インフルエンザにかかりやすい人は、かかりにくい人に比べて、有意に唾液の分泌量が少ないことが示された。

【図8】唾液分泌量の比較。上気道炎に「かかりにくい人」の安静時10分間の唾液分泌量が平均2.79mLに対し、「かかりやすい人」は平均1.95mLだった。

つまり、唾液の量が多いほうがかかりにくい可能性があるということだ。ならば、やはり唾液の中に、感染防御にはたらく成分がありそうだ。そこで次に唾液の「質」に注目した実験がなされた。

複数の人から唾液を採取し、それぞれ一定量をA型インフルエンザウイルスと混合した上で、実験用の培養細胞(※7)に感染させた。その後、「プラーク定量法」と呼ばれる方法でインフルエンザウイルスを可視化することにより、ウイルスの培養細胞への感染の程度を調べることができる。すると、同じ量の唾液を混合しても「ほとんど感染を起こさない唾液」と「多くの細胞が感染してしまう唾液」があることが明らかになった。

【図9】 唾液による抗インフルエンザ効果の検証。抗インフルエンザ活性が高い「高活性」の唾液では、ほとんど青い部分(「プラーク」と呼ばれる」)が見られないのに対し、「低活性」の唾液では、唾液がない場合に近い状態まで感染していることが確認された。

つまり、単に唾液がたくさん出ればいい、というだけではなかったのだ。ここにインフルエンザのかかりやすさにおける“個人差”の理由がありそうだ。

唾液の「抗インフルエンザ効果」のカギを握る物質とは何なのか。そして、「質の良い唾液」にするにはどうしたらよいのか。

後編につづく

※1 厚生労働省 労働者の疲労蓄積度チェックリスト
https://www.mhlw.go.jp/topics/2004/06/tp0630-1.html

※2 厚生労働省 インフルエンザQ&A
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

※3 首相官邸(季節性)インフルエンザ対策
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/influenza.html

※4 薬局サーベイランス
http://prescription.orca.med.or.jp/syndromic/yakkyoku/#h3_001_1

※5 モダンメディア61巻10号2015[免疫]インフルエンザスプリットワクチンの限界と新規ワクチンの開発
http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM1510_01.pdf

※6 White, MR; Helmerhorst, EJ; Ligtenberg, A; Karpel, M; Tecle, T; Siqueira, WL; Oppenheim, FG; Hartshorn, KL. Multiple components contribute to ability of saliva to inhibit influenza viruses. Oral Microbiology Immunology 2009, 24, 18–24.

※7 MDCK細胞(イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来の細胞株)。様々な研究用途に最も広く使用されている細胞株の1つ。