つらいインフルエンザ、できることならなんでもするから、かかりたくない……と切なる願いを抱えている人も多いはずだ。
こんな時、自分にもっと体力があれば……と思うが、実はアスリートでさえも、過度なトレーニング後の数日間は体調を崩しやすいことが知られている。
2019年9月に開催された花王ヘルスケアフォーラムでは、スポーツ医学、運動免疫学を専門とする国立スポーツ科学センターの枝伸彦氏が「高疲労・高ストレスが招く免疫機能低下と感染症予防」と題し、基調講演を行った。受験や試合など大事な時を控える人など「高疲労・高ストレスの人は、特に免疫機能の低下に注意が必要です」と指摘している。
2018~19年にかけて花王が行った調査からも、疲労とストレスの度合いが高い人ほど、風邪やインフルエンザに感染しやすいことが示された。そう、今、頑張っている人ほど要注意かもしれないのだ。そこで今回はインフルエンザ予防策の新たな一手として、「上気道バリア機能」の本来の働きを引き出す“秘策”を紹介していく。
おそらく、この記事を読まれている方は、日頃から予防に対する意識も高いのではないだろうか。手洗い、うがい、マスクに加湿器。子育て中の筆者もかなり警戒して気を付けている。
だが、そんな我々にとって、にわかには信じがたいデータがある。なんと「インフルエンザにかかりやすい人(群)には、かかりにくい人に比べて予防を多く行っている人が多い」というのだ。
「えーっ、今までの努力は無駄だったの?」と叫びたくなるところだが、この結果の捉え方としては、どうも違うようだ。花王 パーソナルヘルス研究所の山本真士氏は次のように話す。
「これらの予防行動に効果がないということではなく、それでもかかってしまうほど、インフルエンザのかかりやすさには『個人差』があるものと考えられます。この結果は社内でも物議を醸したのですが、かかりやすい自覚がある人ほど、予防に力を入れているのだと捉えられます」
花王ではこの調査の前段として、まず約1万9577人を対象とした調査をしている。