安倍政権のPCR検査「ハードル高すぎ」に、厚労官僚からも怒りの声

韓国ではとっくに1日2万件なのに…
時任 兼作 プロフィール

政権への「忖度」がここにも

冒頭の厚労省事務官が続ける。

「日本だって同じようなことができないはずはない。にもかかわらず、やらなかった。これについては、かねて東京五輪開催のために感染者数をできる限り少なく見せようという政権の意向が強く働いていたとの指摘があったが、まさにそうだとしか思えない」

3月下旬、東京五輪の中止が決定された直後から、東京をはじめ日本各地で感染者数が急増した。以後、その勢いは増すばかりである。4月7日、政府は7都府県を対象に緊急事態宣言を発し、16日にはそれを全国に拡大した。

そうした中、ようやく厚生労働省はPCR検査の枠を広げるべく動き始めた。4月15日、同省は検査体制の拡充を目指し、全国各地域の医師会などがPCR検査を実施できる体制を整備するよう促す事務連絡を、都道府県などに対して発した。同時に、韓国で行われた「ドライブスルー方式」の導入にも言及している。緊急事態を前にいよいよ真摯に取り組み始めたかに見えた。

 

だが、検査体制の変更は国内の実情に合わせたものではない、と先の厚労省事務官は断じる。

「これも政権の意向を反映してのことではないか。安倍(晋三)首相は4月6日、新型コロナウイルスをうまく制御した韓国を意識するかのように『一日あたりのPCR検査数を2万件まで増やす』と表明し、その後、『ドライブスルーも含めて検討していきたい』と付言している。

内閣官房には、厚労省から派遣されている内閣審議官(内閣官房副長官付)などもいて、ダイレクトに厚労省へ政権の意向が伝えられる。検査抑制が政権の意向に沿っていたのと同様、今回の対応も政権の方針転換に合わせたに過ぎない。すべて首相への忖度だ」