「宮藤さんは恐ろしい人」

しかもドラマの静奈は、宮藤さんによって、原作以上に勢いとクセのあるキャラクターとして描かれている。当時、脚本より先に原作を読んでいたという戸田さんはドラマ版の静奈にどんな印象を持ったのだろう。
 
「小説を読んでいる時、役作りのヒントとなる点にアンダーラインを引き、自分の中でイメージしながら読んでいました。
でも、台本を開いた瞬間その努力は崩れ去りました(笑)。
小説は物凄いシリアスなのに、半分、いや半分以上コメディ。ぶっ飛びました。
『付けているのに、付けてない感覚。お試しくださーい』
私の知らない静奈がいる。宮藤さんは恐ろしい人だなと思いました」

ちなみに、「付けているのに〜」は第1話で登場する静奈のセリフだ。このあと功一と泰輔の二人の兄が泡を食って静奈のもとに駆けつける。いったい何を「お試し」するように言っているのかは、ドラマのDVDやBlue-layで確認してほしい。

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続くシーンで静奈が兄たちに問いつめられるのだが、その軽妙で息の合った掛け合いは、「両親の仇討ち」という東野作品らしいシリアスさと、テンポのいい会話劇という宮藤脚本らしいコミカルさ、それぞれの魅力が存分に現れた場面だ。特に兄二人に向かって、勢いよく言い返す静奈のチャーミングさは、戸田さんが演じるからこその魅力が存分に出ている。

2015年、パリコレクションでの戸田恵梨香さん。「あのセリフ」のチャーミングな演技は忘れられない Photo by Getty Images