戸田さんだからこそ「静奈」になった

幼い頃に両親を亡くした三兄妹は、養護施設を出たあと様々な苦労を経て、結婚詐欺をしながら生計を立てている。そのきっかけとなったのは静奈が資格商法の詐欺被害にあったからだが「こんなのおかしいよ。あたしらだけどうしてこんな目に遭わなきゃいけないの。いつまでも騙されるほうにいるのは馬鹿馬鹿しいじゃない。騙すほうに回ろうよ」と兄に訴え、最初に動き出したのは静奈だ。

本格的に詐欺活動を始めたときに長男の功一は様々なルールを決めるのだが、そのうちのひとつ「静奈の肉体は絶対に利用しない。妹に売春させるような男は死んだほうがましだ」も、「キスと服の上から胸を触らせるのはセーフ」というルールに勝手に変更して兄たちをやきもきさせるのも、静奈である。

後ろを付いていくのではない、むしろ相手を引っ張っていくような気の強さや兄たちを凌ぐほどの行動力があるのが静奈の魅力であり、この物語の本質でもある。だからこそ、可愛らしさを兼ね備えながらも、自分を投影したくなるような芯の強さを秘めた戸田さんの演技はまさに好演、静奈は適役だった。

2009年の東京国際映画祭での戸田恵梨香さん。CMやバラエティではファッショナブルで親しみやすい表情を見せてくれるが、ドラマではまさに「戸田恵梨香」としてよりも「静奈」「喜美子」「緋山」といった役名を思わせる Photo by Getty Images