保健所職員の告白「検査も人員も何もかも足りない」あまりに過酷な現場

「公衆衛生」を軽んじてきたツケ
中原 一歩 プロフィール

世田谷区長の保坂展人氏は、保健所は今、事実上の24時間体制。ギリギリの人数で稼働していると語る。

「例えば、コロナ感染の疑いのある人が、夜中に発熱して緊急搬送の電話が入ると、今は保健所の責任者の携帯がなる仕組みになっています。そうすると、深夜の2時、3時に電話を受けて、そこから受け入れの病院を探し始めることになるが、病院が見つかるまでに3時間かかった例の報告されている。

これをなんとかしなければと東京都と調整して、こうした入院患者のベッドコントロールの調整センターを、24時間体制で作れないかと、東京都に要望を出しています」(4月21日、立憲民主党・福山哲郎幹事長緊急対談「今、地方自治体で何が起きているのか」においての発言)

 

人をどう育てるか

こうした事態を受け、国は保健所への予算と人員を拡充する方向で動いているが、そもそも、長期化が予想される中、カネとヒトさえ増やせばいいというものではないと、前出の社会学者・新雅史さん(流通科学大学専任講師)は語る。

「新型コロナウィルスの拡大で、保健所の人員が不足していることが明らかになりましたが、これから急いで、保健師の養成課程や研修についても見直すべきでしょう。保健師養成カリキュラムの到達目標には、感染症単独の項目がなく、健康危機という項目で虐待・DV・自殺・災害などと一緒くたにされています。

また、保健師の研修についても、その多くが結核についての研修経験はあるものの、現場のニーズがあるにもかかわらず、新型インフルエンザといった新しい感染症に関する研修実施が少ないことが研究で明らかになっています。保健所の人員が足りないなかで、どのような人材を現場に配置すればよいか。そのときにどのような研修をおこなうべきなのか。こうした点をすぐに検討し、検査体制を早急に整備する必要があります」